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ドキ★ワク先端科学

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~読売新聞寄稿連載「ドキ★ワク先端科学」から~

第30回:情報科学研究科 池田和司教授 [2015年10月20日]

「視線で暴くプロ感覚」

伊東広教授

 

皆さんは、図工や美術の授業で有名な画家の絵を見ることがあるでしょう。そうした作品は、専門家の間ではとても高く評価されていますが、私のような素人の目から見ると、どこがどのように良いのかさっぱりわかりません。パリのルーブル美術館やマドリードのプラド美術館を訪れても、教科書やテレビで見たことのある絵画だ、ということしか理解できませんでした。

どうして芸術家にはわかるものが、素人には不明なのかという疑問から、私たちは芸術家の絵の見方を調べる研究を始めました。

まず、視線に着目しました。人は物を見る時、視線の向く先をあちこちジャンプさせており、普通の人の視線の動きには共通した傾向があるからです。

この傾向をサリエンシー(顕著性)といい、理論に基づいて、視線がよく向く場所を赤く、あまり向かない場所を青く色分けして示した「サリエンシーマップ」を作ることができます。

絵画を鑑賞する際も、この理論に従って視線が動くと予想されますが、ひょっとしたら芸術家は、見ている場所が違うのかもしれない、と考えました。

そこで、人の瞳の動きをキャッチする特殊な眼鏡をかけて複数の芸術家に絵画を見てもらい、視線が止まる「注視点」の分布を調べたところ、結果は予想通り。彼らの視線は理論では説明がつかない、非常に個性的な動きをしていたのです。

ではどこを見ているのか。現在、その謎を明らかにするべく研究を進めています。解明されれば、素人にも「こういうところを見るようにしましょう」といった適切なアドバイスができるようになるかもしれません。

このように人間の行動を実際に測定し、その意味を説明する理論の構築を「人間行動モデリング(モデル化)」と呼びます。理論ができれば、次にどのような行動を取るかを予測でき、色々なことに役立ちます。

例えば、自動車の運転をモデリングすれば運転手の不注意による事故を未然に防げますし、足に麻痺のある患者さんの歩行をモデリングできれば、転倒して怪我をする危険を減らせます。

最近では犬のトレーナーや馬術騎手など、動物を相手に行動するような複雑なケースでも研究を進めています。これは動物行動モデリングも含む難問です。


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