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ドキ★ワク先端科学

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~読売新聞寄稿連載「ドキ★ワク先端科学」から~

第8回:バイオサイエンス研究科 梅田正明教授 [2014年7月25日]

「植物サイズ 脂肪酸が調整」

梅田正明教授

 

右下は、脂肪酸から維管束に向かって細胞が増えすぎないように指令が出ている様子。薄めた除草剤でこの制御を乱すと、右上のように植物が大きくなる
  • 右下は、脂肪酸から維管束に向かって細胞が増えすぎないように指令が出ている様子。薄めた除草剤でこの制御を乱すと、右上のように植物が大きくなる

ほとんどの生き物は、それぞれの種にふさわしい一定の「サイズ」を持っています。つまり、体が決められたサイズまで大きくなると、成長を止めてしまうという仕組みです。さまざまな動植物が独自の方法で繁殖し、地球上で共存共栄していくには、サイズを調整してすみ分けることが非常に大切になってくるのです。

このような生物の成長の謎を解明する糸口を、私たちは、植物で発見することができました。

ある除草剤を、除草用に使う濃度の約100分の1に薄めて使ったところ、植物そのものを弱めないばかりか、なんと逆に1.7倍も大きく成長したのです。

植物の表面は、水をはじいたり、病原菌の感染を防いだりするワックスで守られていますが、この除草剤は、ワックスを作るのに必要な「極長鎖脂肪酸」の合成を妨げることで、植物の成長を止めます。

本来ならダメージになるはずの除草剤で、どうして大きく成長したのでしょうか。調べたところ、除草剤を薄めたことでこの脂肪酸の合成を妨げる力が適度に弱まり、体内で細胞分裂を活発にする植物ホルモンがたくさん作られるようになっていました。そのホルモンにより、細胞がどんどん殖えることで植物が大きくなっていたのです。

除草剤を使っていない場合、すなわち、脂肪酸が通常通りに作られている場合は、植物は一定サイズ以上にはなりませんから、脂肪酸自体に、細胞の数が必要以上にならないように調節する作用があると考えられます。極長鎖脂肪酸は植物表面の細胞で作られますが、細胞の増殖を促す植物ホルモンは内側を通る維管束から出ているので、内側に作用しているのでしょう。

私たちが行った実験では、除草剤でこうした自然の制御を乱した結果、大きな植物ができたと考えられます。今後、詳しいメカニズムがわかれば、バイオエタノールなどの原料になる植物も大きくして、生産量を上げられるかもしれません。今回の例は、除草剤を薄めた時の様子をよく観察してわかったことですが、研究ではこのような小さな発見を見逃さないことが大切です。

 


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