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ドキ★ワク先端科学

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~読売新聞寄稿連載「ドキ★ワク先端科学」から~

第7回:物質創成科学研究科 太田淳教授 [2014年7月25日]

「人工視覚 希望の光」

太田淳教授

 

目の中に埋め込む人工視覚の電極。薄いフィルムの上に49個が並んでいるが、日常生活を不自由なく送るには、もっと多くの電極が必要となる
  • 目の中に埋め込む人工視覚の電極。薄いフィルムの上に49個が並んでいるが、日常生活を不自由なく送るには、もっと多くの電極が必要となる

私たちの身体を形作る多くの細胞は、それぞれ互いの情報のやりとりを主に電気信号で行っています。たとえば、音楽を聴いたり、テレビを観(み)たりして楽しめるのは、実は音や光の情報を受け取って電気信号に変える細胞が体内にあるからです。その電気信号が脳まで伝わることにより、「聞こえた」「見えた」と感じているのです。

音を電気信号に変換する細胞は有毛細胞と呼ばれ、耳の奥(内耳)の「蝸牛(かぎゅう)」という器官の中にあり、この細胞が機能しなくなると音が聞こえません。その場合、耳の後ろにつけたマイクで、音を拾って電気信号に変換し、内耳まで届け、細胞を刺激することで、電気信号の情報が脳に伝わります。これが聴覚障害を持つ人が使う「人工内耳」の基本的な仕組みです。すでに医療機器として普及しています。

それでは、失われた視覚機能を補う機器「人工視覚」はどうでしょうか。光を電気信号に変換する視細胞の機能が失われる視覚障害を対象に、現在世界中で研究が進められています。海外では一部の患者に使われ始めていますが、まだ最初の段階です。

人工視覚の開発は、人工内耳を手本にしていますが、一筋縄ではいきません。人工内耳ではマイクで集めた音を電気信号に変換すればいいのですが、人工視覚ではカメラで撮った画像という光のパターンを変換しなければならず、情報量が圧倒的に多いのです。そのため、電気信号を細胞に伝える電極も複雑な仕組みになります。また、耳の固い蝸牛と違って、柔らかい目の内部に多くの電極を密着させるのが困難です。写真は大阪大医学部や眼科機器メーカー「ニデック」により最近開発された人工視覚用の電極で、薄いフィルムの上に49個並んでいます。

私たちは、その二者と協力し、次世代の人工視覚の研究を進めています。電気回路や電極の材料を工夫し、より良い「視覚」が得られるよう、電極1000個以上を備える装置の実現を目指しています。

日本は65歳以上の高齢者の割合がおよそ4人に1人の高齢化社会になっており、この割合はさらに増えると予想されています。今後、高齢者が支障なく日常生活を送るために、「人工内耳」「人工視覚」の発展はますます重要になるでしょう。

 


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