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京都大学薬学部卒、製薬会社勤務を経て、神戸大学自然科学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。専門は細胞生物学、発生生物学。現在の研究テーマは、BARタンパク質による脂質膜の変形機構と細胞における機能の解明。

研究者への道のり

高校生の頃から理科が好きでしたが、大学進学の時は手に職がつくと親に勧められ、薬学部に進学しました。大学では生物系の授業がおもしろかったですね。研究室配属で生化学・細胞生物学を研究する研究室に入り、楽しくて夜中まで実験をしていました。薬剤師免許を取ったのですが、薬剤師になるつもりはなくて、修士課程を出て製薬会社に入り研究をしたいと考えていました。ですが、親に「大学院まで行ったら結婚できなくなるから絶対にだめ」と強硬に反対され、泣く泣く卒業し製薬会社に就職しました。製薬会社では研究所に配属され、様々な酵素系や細胞系を立ち上げ、微生物や植物等の天然物から薬の種を探す研究に従事しました。この仕事は楽しかったですね。その後、本社に異動になったのですが、研究にまだ未練があったため、会社を辞めて大学院へ行くことにしました。会社にいる間に結婚したので、親から文句は出ませんでした。大学院では、中心体という細胞内小器官に関する研究に取り組みました。顕微鏡を何時間も覗く日々でしたが、細胞の美しい染色像の観察が好きで、ほとんど苦になりませんでした。

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博士号を取得してから、神戸の理化学研究所の研究員になりました。多細胞システム形成研究センターの竹市雅俊先生の研究室に所属し、上皮細胞が細胞間接着を変形させて組織を形づくる仕組みについて研究しました。細胞や組織を染色して、じっくり観察して、顕微鏡を覗きながら先生といろんな仮説をディスカッションして・・・とたいへん学ぶことが多かったです。自由な雰囲気で、色々な手法に挑戦できたのもよかったです。研究室や研究所の優秀な方々にも助けられ、研究成果も得られ、貴重な研究生活でした。
この後、博士課程で在籍した研究室で助教をすることになり、ちょうどこの時期に子どもも生まれました。それから理研に戻って学振RPDの研究員を務めたあと、本学に着任しました。現在は細胞の膜が変形する仕組みを研究しています。細胞の形の制御に関する研究を続けられていて、ありがたいです。
色々紆余曲折はありましたが、これまで幸運にも楽しんで研究する機会に恵まれてきたことが、今も研究者を続けられている理由だと思っています。

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一日のスケジュール

高校生の頃から朝型なので、朝は4時半頃に起きて、書き仕事などをしています。朝は頭がすっきりで、良いアイディアを思いつくことがあります。その後5時45分頃から夕ご飯を作り、冷蔵庫に入れます。それから、子どもを起こして朝ご飯を食べさせ、7時20分頃に家を出て、9時頃に大学に出勤します。自宅から大学までの通勤時間が長いので、電車の中で実験計画を立てたり、論文を読んだり書いたりしています。日中は学生の研究指導や自分自身の実験を行い、18時半頃に大学を出ます。子どもが家に着いたら電話をしてもらい、私は20時過ぎに家に着きます。それから夕ご飯を温めて一緒に食べます。子供の宿題をみたり明日の準備をさせたりした後、22時半~23時頃に就寝します。

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家事は夫と分担しています。例えば食事は私が作り、夫は片付けを担当しています。母親の方が、見えないけどやらなければならない仕事が多いような気がしています。でも、見えない家事を担っていると思っているのは相手も同じだと思うので、お互いさまなのかもしれません。子どもを遊びに連れて行ってもらえるのは、助かっています。
土曜日は朝11時頃から大学で実験をしています。顕微鏡を覗いていることが多いですね。子どもは、夫がプールなどの習い事に連れて行ってくれるので、任せています。日曜日は家で家族と過ごしています。1週間分の献立計画と買い出しもします。

本学に求められる研究者支援

私は自宅のある神戸から通勤しているのですが、着任した当初は子どもが保育園に通っており、お迎えの時間までに迎えに行くことができなかったので、平日夕方の保育園と自宅間の送迎と帰宅後の世話のため、ベビーシッター料金の利用費補助(内閣府)を利用させていただきました。男女共同参画室には、シッター会社をどこにしたらいいか等をご相談させていただき、大変ありがたかったです。本制度を約1年間利用させていただき、大変助かりました。

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子どもは今年度4月より小学校に入学しましたが、やはり学童保育の夕方の迎えには間に合いません。公立の学童保育は子どもの送迎は当然してくれませんし、気象警報が出るとすぐに閉所したり、夏休みの預かり時間が短かったりで、これではとても働けません。そこで、学童と自宅間の送迎、長期休暇中の保育、気象警報や学級閉鎖時の対応もしてくれる私立の学童保育に入りました。ただ、とてもお金がかかりますね。家庭によって事情はそれぞれなので難しいかもしれませんが、小学校に入ってからの学童保育利用に関する経済的な補助もあればありがたいなと思います。

研究者を目指す学生に向けて

本学は研究ができる環境が整っていて、研究者への支援も手厚いと思います。様々な共通機器を完全な状態でメンテナンスしていただいていて、優秀な先生方も多く、とても研究がしやすいと思います。ですので、学生さんにはこのすばらしい環境を活用してもらって、思い切り研究をしてほしいと思います。就職活動も大事だけれど、思う存分実験をしてもらいたい。新しい発見があると研究はとても楽しくなるので、よく実験・観察をして、ぜひ新事実を発見してほしいと思っています。そして、言われたことをやるだけでなく、自分でよく調べて、次はこれをやってみたいという提案を教員にしてほしい。私たちはそれをサポートしていきたいですね。

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(平成31年3月)

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