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2010年広島大学大学院生物圏科学研究科博士後期課程修了、博士(農学)の学位取得。同年4月から広島大学大学院生物圏科学研究科博士研究員、10月から自然科学研究機構岡崎統合バイオサイエンスセンター博士研究員。2012年3月から奈良先端科学技術大学院大学助教。専門分野はタンパク質科学、タンパク質工学。

なぜ研究者に?

私の両親はともに理系で、母は中学校の生物の教員だったこともあり、昔から理科が好きでした。両親は同じ大学の研究室の出身なのですが、私が中学生の時、両親の恩師の研究室に連れて行ってもらったことがありました。理科が好きだったので、自分の好きなことをやって給料ももらえるなんていい職業じゃん、と思いました。それで研究者は面白そうだと思ったのが始まりでしたね。ただ当時の研究者は一度ポジションに着いたら定年まで勤められてじっくり研究できたのに対して、いまは環境がまったく変わって研究の道は修羅の道みたいになっていますが。このときにがっつり研究をしている空間を見たことが刺激になり、生物の研究者になりたいと考えるようになりました。

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両親の出身大学と同じ大学の農学系の生物生産学部に進学したのですが、学部教育がユニークで、生物関係の分子生物学から食品経済まで、幅広いジャンルを教養として勉ぶ機会があり、それから自分で専攻分野を選ぶシステムでした。この分野選びの時に、現在の私の研究対象であるタンパク質、そして、指導教員である三本木至宏先生と出会うわけなのですが、当時、私はタンパク質はお肉とか栄養素とか漠然としたイメージしか持っていませんでした。ところが三本木先生が、タンパク質とは、ミクロな、動いているナノマシンなのだということを動画で見せてくれて、すごく面白いと思い、そこからはずっとタンパク質をテーマにしていますね。博士号取得後、愛知県にある分子科学研究所の岡崎統合バイオサイエンスセンターでポスドクとして1年半勤めました。専門分野はずっとバイオ系だったのですが、三本木先生と廣田先生が共同研究をしていて、分子研にいたときにその共同研究の発表を学会で聞き、その後に三本木先生から廣田研で公募が出ていることを教えてもらったことから本学に応募をし、採用されました。
本学の研究環境はとてもよいと思います。まず、研究するための装置がものすごく充実しています。技術職員の方もいい仕事をしてくださいますし、研究のための環境はほんとうにいいです。私が指導している学生は直属が2名、トータルでは7,8名ですが、自分の研究と教育のバランスも取れていると思います。

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一日のスケジュール

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日々の生活は1年半前に子どもが生まれてからえらく変わりました。子ども中心の生活になりましたね。昔みたいに深夜まで実験するということはなくなりました。現在、妻は育児休業中でまもなく復帰予定です。私も妻も実家が遠いので親のヘルプがないのですが、私たち夫婦の育児などの分担は比較的うまくいっているのではないかと思います。

私は、平日の朝は、子どもが起きてくるかこないかくらいの時間帯に起きて、家を出て、9時くらいに大学に到着します。研究室や実験室を行き来しつつ仕事をして、18時か19時くらいには帰ります。帰宅前に買い物に行って、私が夕飯をつくります。これは子どもが生まれる前からそうです。お風呂は最近は妻が子どもと一緒に入ってくれています。子どもがもっと小さいころは17時には帰っていました。お風呂などのお世話がこの時期は大人一人では無理なので。当時ラボのミーティングは毎週金曜日の18時半からに設定されていたのですが、それは時間が遅いので17時に繰り上げていただきました。いい研究室だと思います。それで、お風呂の後、子どもと遊んで、21時になったら私か妻のどちらかが子どもの寝かしつけをします。うまいこと寝たら妻と二人でテレビ見たりしてゆっくりしています。

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土日は、私が朝ご飯をつくり3人で食卓を囲みます。昼くらいから大阪に出て、妻も私も飲むのが好きなので、行きつけのお店に行ったりして食事をします。日曜日は食料品などの買い物をして、平日用の常備菜をつくります。一人暮らしが長かったので家事全般はなんでもしますけれど、妻は掃除と洗濯が好きらしいので任せて、私は料理をしています。料理は趣味みたいなものなので、楽しく作っています。
私は家に仕事は持ち帰らないです。ウェブメールさえ開かない。よっぽど必要なタイミング以外は見ないですし、転送設定もしていない。昔から休む時は休むようにしています。そうしないといい仕事ができないので。

研究環境整備に関する課題について

私自身が育児休業を取得したわけではないので、研究が育児のためにストップしたということはないのですが、子どもが生まれてすぐの数ヶ月はずっと寝不足の状態でした。この時期に研究支援員の人件費助成を得られるアカデミックアシスタント制度を利用できたらよかっただろうなとは思います。この制度は、配偶者が育児に専念できる場合は申請資格がないとされているので、妻が育児休業を取得した私には申請資格がなかったわけですが、今後、子どもが生まれた直後は使っていいようにしていただけると、ありがたいと思います。生まれてすぐはめちゃくちゃたいへんなので。

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既に子育てを終えている方は、生まれてすぐの子どもが夜にどれだけ寝ないかとか、3時間おきに起きるとか、そういった大変さを忘れているのかもしれませんが、この時期は本当に壮絶です。基本的にずっと寝不足でした。妻は私が通勤途中に車で事故を起こしたら困るからと、はじめのほうは「別の部屋で寝て」と言ってくれて、それならと別の部屋で寝たこともあったのですが、やっぱりたいへんなので、私が毎週水曜日に「男性職員の育児参加休暇」などの有給休暇をとって、火曜日の夜は妻にひとりで休んでもらうようにするなどしていました。このたいへんな時期に仕事を手伝ってくれるアシスタントがひとりいてくれたら助かっただろうなと思います。今後、研究支援員制度がより拡充されることを期待しています。

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(令和2年3月)

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