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変形する「ガラス流路」で細胞の物性を測る! ~高精度・高速・大量測定を実現する実用的物性評価法、医療応用へ~

変形する「ガラス流路」で細胞の物性を測る! ~高精度・高速・大量測定を実現する実用的物性評価法、医療応用へ~

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 奈良先端科学技術大学院大学(学長:塩﨑一裕)先端科学技術研究科 物質創成科学領域 生体プロセス工学研究室のヤリクン・ヤシャイラ(Yalikun Yaxiaer)准教授、理化学研究所の山本晃毅 基礎科学特別研究員、奈良県立医科大学の酒井和哉 講師らの研究グループは、浮遊細胞の物性(硬さ)を約0.1 kPaの分解能で定量可能とし、高速かつ大量での測定を実現する、30 μm厚の超薄板ガラス製動的可変ギャップ構造(DGS)を集積したマイクロ流体デバイスの開発に成功しました。

 本手法は、浮遊細胞の「数」や「形態」に加えて「物性」を直接かつ高速に取得できることから、従来困難であった疾患細胞の力学的異常の定量評価を可能とし、がんや血液疾患をはじめとする臨床診断、病態解析、創薬評価への応用が強く期待されます。

 本技術は、従来の原子間力顕微鏡(AFM)に代表される単一細胞計測手法と比較して、数百細胞/秒規模の高速処理と統計的に信頼性の高い分布評価(高再現性)を両立できる点に特徴があります。さらに、既存のマイクロ流体手法とは異なり、環境や流体条件に依存しない機械的に定義された圧縮負荷を細胞に直接付与できるため、定量性の高い物性評価が可能です。加えて、可変ギャップ構造により細胞サイズのばらつきに自動的に適応し、流路閉塞(目詰まり)のリスクを大幅に低減できることから、長時間にわたる安定した連続測定を実現します。本システムは、単一のマイクロ流体デバイス、カメラ、および送液用の空圧ポンプのみで構成される簡便なシステムを特徴としており、高い実用性を有しています。

 今回の研究成果は、2026年5月8日(金)にLab on a Chip誌(英国王立化学会)に掲載されました(DOI: 10.1039/D5LC01162K)。

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