奈良先端科学技術大学院大学(学長:塩﨑 一裕)先端科学技術研究科附属メディルクス研究センターの細川 陽一郎教授、釣 優香助教、データ駆動型サイエンス創造センターの藤井 幹也教授と、近畿大学(学長:松村 到)医学部の伊藤 彰彦主任教授、武内 風香助教、大阪工業大学(学長:井上 晋)工学部の安國良平准教授らの研究グループは、がん診断の専門医である病理医でも顕微鏡観察だけでは識別が難しい、がん細胞と正常細胞を高精度に分類できる新たな原理を発見しました。
病理医は、顕微鏡で細胞の形や核の特徴を観察して診断します。しかし、形状が正常細胞とよく似たがん細胞は、顕微鏡観察だけで見分けることが難しい場合があります。がん化に伴って、細胞の形状変化だけでなく、細胞内部にはさまざまな変化が生じますが、その多くは顕微鏡では観察できず、診断に活用することは困難でした。
本研究グループは、細胞に光を照射した際に生じる散乱光に、通常の顕微鏡では捉えられない細胞内部の情報が含まれることに着目しました。この散乱光の解析に機械学習を適用することで、顕微鏡観察だけでは識別が難しいがん細胞と正常細胞の違いを高精度に分類できることを発見しました。さらに、本手法が複数の種類のがん細胞に応用できることを実証しました。
本研究成果は、病理医による細胞診断を支援し、診断精度の向上や診断の効率化につながる新たな診断技術として期待されます。
本研究成果は、Springer Nature社刊行の学術誌Scientific Reportsに2026年8月3日に公開されました(DOI:10.1038/s41598-026-64056-z)。