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浸潤性の高い悪性脳腫瘍(膠芽腫)細胞を力学的に評価する新計測法を開発 ~患者膠芽腫細胞の浸潤性や、抗浸潤薬候補の体外評価への応用に期待~

浸潤性の高い悪性脳腫瘍(膠芽腫)細胞を力学的に評価する新計測法を開発 ~患者膠芽腫細胞の浸潤性や、抗浸潤薬候補の体外評価への応用に期待~

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 奈良先端科学技術大学院大学(学長:塩﨑一裕)先端科学技術研究科 物質創成科学領域/メディルクス研究センター 生体プロセス工学研究室のヤリクン ヤシャイラ(Yalikun Yaxiaer)准教授、岡野和宣研究員と、中国・重慶大学附属重慶総合病院(重慶市医学科学院)脳神経外科のTang Tao准教授(本研究室出身)らの国際共同研究グループは、悪性脳腫瘍の一種である膠芽腫由来のがん細胞を流体力で一時的に変形させ、変形時の応答に加えて、その後の形態回復まで一細胞ごとに追跡し、細胞の時間依存的な力学挙動を評価するマイクロ流体計測法(時間遅延変形細胞計測, Time-Delay Deformation Cytometry: TDDC)を開発しました。

 膠芽腫は、がん細胞が周囲の脳組織に入り込みながら広がるため、浸潤性の高い、治療後も再発しやすい難治性の脳腫瘍です。膠芽腫細胞は、細胞外環境の粘度などの物理的条件に応答して細胞内シグナルが変化し、細胞骨格や接着構造を変化させます。こうした変化は、細胞の硬さや粘弾性的な力学応答、変形後の形態回復に影響し、浸潤性とも関連する可能性があります。その関係を理解するには、細胞が力を受けたときの変形だけでなく、力が弱まった後に形がどのように回復するかを評価することが重要です。

 研究グループは、ヒトおよびマウスの膠芽腫細胞株を、低粘度対照条件(1 cP)または高粘度条件(7.1 cP)で1か月間培養しました。その後、両条件の細胞を同じ測定条件下で流体力により一時的に変形させ、毎秒1万コマの高速撮影で、変形の過程と変形後に元の形へ戻る様子を追跡しました。その結果、高粘度条件で培養した細胞は、低粘度対照条件で培養した細胞に比べて変形に対する抵抗が大きく、浸潤試験でもより高い浸潤性を示しました。さらに、マウスを用いた実験では、脳内でより広範囲に浸潤する様子が観察されました。

 これらの結果は、細胞の力学挙動の変化が浸潤性の上昇と関連する可能性を示しています。将来的には、本手法を患者由来の膠芽腫細胞の浸潤性評価や、抗浸潤薬候補の体外評価に活用できる可能性があります。

 本研究成果は、2026年10月26日(月)に学術誌『Biosensors and Bioelectronics』に掲載されました(2026 Elsevier B.V., DOI: 10.1016/j.bios.2026.119355)。

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