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研究者紹介 vol.22 バイオサイエンス領域 植物生理学研究室(遠藤研)久保田茜助教

2014年京都大学大学院生命科学研究科博士後期課程修了。博士(生命科学)。ワシントン大学(アメリカ)博士研究員を経て、2018年9月より現職。専門は植物分子生物学・分子遺伝学。現在は季節性の開花制御機構について研究している。

なぜ研究者に?

高校生の頃に1年間語学留学をしたことをきっかけに、漠然と「将来は、国際的な活躍の場が与えられるような仕事に就きたい」という気持ちがありました。ですが、大学に入ると遊び呆けてしまってそんな志はすっかり忘れていて、たまたま3年生の時の分子生物学実験の学生実習が非常に面白いと思い、それで実験を担当していた研究室に配属希望をしたのが、この道に進んだきっかけです。植物を実験対象に決めた動機も非常に単純明快で、分子生物学はしたいけれど、動物実験は苦手だった。かといって単細胞生物よりは多細胞生物を扱いたい。それで植物がいいなと考えました。

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修士課程2年で就職も考えたのですが、就活がうまくいかなくて、それならとりあえず1年、博士後期後期課程に進学してしまえ、とかなり消極的な理由で進学をしました。ただ、その時に研究室の先輩に、「博士は問題解決のプロだ」と叱咤激励されました。博士課程は、専門にどんどん狭くなっていくのではなくて、問題解決を行うための訓練の場であると言われて、それなら最後までやり切ろうと腹を据えましたね。
ありがたいことに当時、自分の周りの先生方はもちろん先輩、同期、後輩は、コミュ力・行動力ともに抜群で質の高い研究をバンバン進めている人ばかりで、日々の目標には事欠きませんでした。気づいたら就職のことは頭から抜けて、「ここで認められるまではやめない!」と完全に方向転換して今に至ります。20代の貴重な時期を、こういった超一流の研究者にビシバシ叩かれながら夢中で走り続けることができて、先生方や先輩、友人には本当に感謝しています。

実は進学に際して先生方にずいぶんと時間を割いていただき、修士課程と博士後期課程でテーマをガラッと変えました。D1にして成果ゼロはかなり大変でしたが、自分で立ち上げたテーマということもあり、研究そのものはずっと楽しくやっていました。無事博士号を取得し「問題解決のプロ」の免許を頂いたので、次は研究者としてのスキルを発展させたいと思い、進路はまったく迷わずポスドクに決めました。そこでふと、そういえば私は世界を見据えた仕事がしたかったなと思い出して、海外でポスドクをしようと思いました。それで、博士後期課程の時代に交流があったラボのいくつかにコンタクトを取って、うまくいったアメリカのワシントン大学のラボに4年間在籍しました。
アメリカはビザの種類が5年目で変わるのですが、ボスから「最終的にどこで仕事をしたいのだ」と問われた時に「日本かな」と伝えたら、それならビザの更新はするな、次のステップに行けと。海外での生活・研究ともに軌道に乗り始めた時期で、異動するか否かはかなり迷いましたが、なにより遠藤先生と仕事ができる機会は二度とめぐってこないだろうと思い、ボスに背中を押されつつ本学にアプライしました。
ワシントン大のボスも私も遠藤先生も、研究分野が同じであったり研究室同士が近かったこともあって、本学にアプライする前からお互いをよく知っていました。特に私は博士課程のころに遠藤先生に非常にお世話になっていて、超一流の研究者であることは熟知していました。一緒に遠藤研の立ち上げに携わることで、きっと自分自身が成長できると思っていたので、異動に際しての不安はほぼありませんでした。

実は、研究所も候補に含めつつ就職活動をしていたのですが、私は学生と仕事をするのが好きなので、研究所よりも大学や大学院大学に魅力を感じました。ワシントン大にいた時に学部生と一緒に仕事をした経験から、大学教育は自分より優秀な人材を輩出できる可能性に溢れていることに気づきました。科学に貢献する手段として、自分の研究成果を出すことは当然なのですが、次世代の優秀な科学者を輩出することも忘れてはならない要素です。そのような意味で大学院大学は非常に魅力的で、ここを選ぶモチベーションの一つになりました。今のところは、今取り組んでいる仕事を完成させ、2018年に立ち上がったばかりの遠藤研が回っていくこと、そこになにがしかの貢献をすることが自分の目標です。
今取り組んでいるテーマは、植物が季節変化に伴って花を咲かせる仕組みです。植物を取り巻く環境って季節によって大きく変わるのですが、植物はその環境変化にうまく適応して一番良いタイミングで花を咲かせます。このような植物の巧妙な生存戦略の仕組みを、うまく説明できたら割とスッキリする。小中学校で使われる理科の資料集みたいに、身近な事象を合理的に説明できるとなんとなく腑に落ちて嬉しい。それを人に伝えて、共有することができたらもっと嬉しい。それが研究の原動力になっています。うまくいかないことがほとんどですけれど。だから、これから先もベンチで実験をして一番に結果を知りたい、現場にこだわりたい、という気持ちで続けていきたいと思っています。

一日のスケジュール

職員宿舎に住んでいるのですが、私はものすごく夜型で、かつ遠藤研はありがたいことにフレックス制なので、朝は10時半くらいにラボに来ます。合間に食事を摂りながらも、やることがある時は夜中まで働いています。私、家でほぼ仕事できないので。遠藤先生は逆にものすごく早くて、夕方には保育園のお迎えといった制約があるので、「あとは引き受けますね」という感じです。遠藤先生はやることがあると職場に出て来られる時間がどんどん早くなるんです。どんどん朝型になる。それで夜型の私とたまに会う、みたいな(笑)。えー?早くないですか?とかいうこともあります。

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土日は職場に出てきたり出てこなかったりで半々ですね。ずっと働き続けると効率も落ちますので。今covid-19でどこにもいけないので、寝だめをしたり、家庭菜園をしたり、海外ドラマを観たりして過ごしています。最近は、ハイキングに行っています。矢田丘陵だとか、生駒山から四條畷、私市まで回るコースに行ったりしました。この地域は自然が豊かで歩きがいがあってむちゃくちゃ楽しいです。

本学の研究環境と課題について

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本学の研究環境はとても気に入っています。研究室の垣根もものすごく低いし、特に植物系は困ったことがあったら助教ネットワークに聞きにいけるし、機械を借りるのも簡単です。共通機器が充実しているのもいいですね。しがらみもないし、〇〇先生の研究室はどうだというような風潮もないから、好きです。
課題は、学内の連絡が全部メールベースで情報が埋もれることでしょうか。男女共同参画室もそうですけど、イベントなどの情報が探しにくいです。見つけやすいホームページの作りになっていれば、よりよくなると思います。

男女共同参画室のホームページは非常にしっかりしていると思っています。欲しい情報もすぐにとりにいけるんですけど、本学のホームページとの連携が必要ではないでしょうか。バナーはあってもそれぞれの取り組みが見えにくいのは事実で、今日何のイベントがあるのかを探しに行こうとした時、難しい。セミナーも成果報告も情報がごっちゃになっている上に、科研費や民間の助成金の締め切りがいつというメールが届く。システムそのものをわかっていないと見つけられないところに情報を埋もれさせるのではなく、メール以外の告知方法の工夫もできるとよいのではないでしょうか。
男女共同参画室のホームぺージの「それぞれの働き方」のインタビューの記事も読んでいます。アカデミックアシスタント配置及び役務委託経費の助成の制度があるのも記事を読んで知ったので、こういった制度の情報が埋もれるのはもったいないです。学内の人に知ってもらうのも大事ですが、学外の人に知ってもらうのも大事。NAISTにスタートアップ研究費やアカデミックアシスタント配置及び役務委託経費のような制度があることはアピールポイントになると思うので、こういった支援が充実していることは、もっと学外に発信すべきだと思います。

(令和3年1月)

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