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未開拓の分野を選んで
挑戦できる

大山 諒子 助教物質創成科学領域
機能有機化学研究室

未開拓の分野を選んで
挑戦できる

大山 諒子 助教物質創成科学領域
機能有機化学研究室

大山諒子助教は、光のエネルギーを活用した
有機材料の研究に取り組んでいます。
蛍光やりん光の発現機構を明らかにし、
その効率を高めることで、
新たな光機能材料の
創出を目指しています。
まだ十分に研究が進んでいない分野にも
積極的に挑戦し、
既存の枠にとらわれない視点で
研究を進めています。

profile

大山 諒子 助教

経歴

  1. 2018

    3月

    広島大学理学部 化学科 学士(理学)

  2. 2020

    3月

    広島大学理学研究科 化学専攻 修士(理学)

  3. 2023

    3月

    広島大学先進理工系科学研究科 
    先進理工系科学専攻
    基礎化学プログラム 博士(理学)

  4. 4月

    沖縄科学技術大学院大学 博士研究員

  5. 2024

    5月

    本学先端科学技術研究科物質創成科学領域 助教

趣味

お酒の飲み比べ、英会話、筋トレ etc

日本酒とビールが好きで、出張などで出かけた際には、地酒やクラフトビールを買って持ち帰り、味わいながら飲み比べています。また、海外の研究者との交流や、海外で研究したいという思いもあり、YouTubeで 英語の動画を見たり、ラジオの英会話番組を聴いたりするのが習慣になっています。研究生活は体力勝負なところもあるので、週末はジムに行って筋トレをしています。

interview

NAISTに助教として着任し、新たな研究テーマを立ち上げられました。光のエネルギーを吸収して高効率に「りん光」を発する「室温りん光材料」の開発です。有機ELの素子などに使われている「りん光」は、類似の仕組みで光る「蛍光」に比べて長時間発光するうえ、エネルギーの利用効率が高いことから省エネなどの面で注目されています。どのような発想で挑む研究ですか?

蛍光やりん光は、分子が光を吸収して高いエネルギーを持つ「励起状態」になり、元の安定な「基底状態」に戻る際に光を放つ現象です。この励起状態には、電子スピンの向きにより「一重項」と「三重項」の二つの状態があります。りん光は、一重項で励起された電子がスピン反転を伴って三重項へと遷移し、そこから基底状態へと戻る際に生じます。三重項から基底状態への遷移はスピン禁制であるため、蛍光に比べて長寿命であることが特徴です。一般的なりん光発光では、分子が光を吸収するとまず一重項状態に励起され、その後、複数の過程を経て三重項状態へと移行します。この過程ではエネルギーロスが生じやすく、発光効率の低下に繋がります。そこで私は、一重項の基底状態から直接三重項状態へ励起するという、これまで着手されてこなかった経路に着目しています。こうした直接励起が実現すれば、より高効率なりん光発光が可能になると考えています。この現象は理論的には起こり得るとされていますが、実験的に確かめられた例はほとんどなく、まさに挑戦的な研究です。

これまでにどのような成果がありましたか?

未だ少ない赤色や近赤外のりん光を発する有機材料の開発を目指して研究を進めています。その過程で、りん光特性を調べるために合成した化合物が、予想に反して高い発光効率で赤色の蛍光を示すことを発見しました。この発光原理を明らかにし、分子設計できれば、赤色よりもさらに長波長の、医学・生物学の画像イメージングによく利用される近赤外領域の蛍光を高効率で得られる可能性があります。この成果をきっかけに、現在はりん光と並行して近赤外蛍光材料の研究にも取り組んでいます。

このような研究の背景にある「分子に光のエネルギーを吸収させて励起し、反応性を高める」という現象に興味を持ったきっかけは?

広島大学理学部の学生のとき、学内の研究室紹介で見た研究テーマに強く惹かれました。がんの薬剤治療の一つとして、薬剤ががん病巣に到達した時点で光を照射すると、薬とそれを運ぶ分子(光解離性保護基)との結合が切れて薬が作用し始めるという、光応答性ドラッグデリバリーシステムです。その仕組みに興味をもち、分子の光による結合解離メカニズムを調べたのが最初の研究でした。このテーマで研究を続けたいとの思いが強くなり、博士後期課程まで進学し、国際学会での発表する機会も得ました。また、この薬剤を効果的に機能させるシステムには、発光によってがん病巣の目印となる分子も含まれており、発光現象そのものにも関心を持つようになりました。その延長として、大学院修了後に博士研究員として採用された沖縄先端科学技術大学院大学では、分子の発光メカニズムの研究を本格的に始めました。一貫したテーマを持ちながら研究をどのように発展させるかという柔軟な対応力の大切さを実感しました。

奈良先端大に着任して1年余り経ちますが、研究教育の環境で良かったことは?

新規採用の女性教員対象のスタートアップ研究費の助成が大きな支えになりました。着任した直後は使える研究費があまりなかったのですが、この研究費は申請後すぐに支給されたので大いに助かりました。早速、実験に不可欠な光励起用のLEDランプや、発光スペクトルを測定する検出器などを購入し、研究に着手しました。
また、本学には優れた実験設備が整っている上に、技術職員の方々による専門的で丁寧なサポートが本学の大きな強みだと感じています。試料の特性や目的をお伝えすると、すぐに最適な測定方法を提案してくださり、精度の高いデータを迅速に取得していただけます。日々の研究を支えてくださる技術職員の方々の存在はとても心強いです。
さらに研究教育の面では、所属する機能有機化学研究室で、学生に学会発表を経験させるなど、学外での活動を積極的に勧めています。他大学の研究室との共同研究会や若手研究者の会への参加を推奨することで、学外の研究者との交流が生まれ、視野が広がるとともに、研究へのモチベーションも高まっていると感じます。

将来的にはどのような研究者をめざしますか?

常に未知の現象を解き明かしていきたいと思っています。また、研究を続けていくためには、社会や経済の動向を踏まえ、世の中のニーズにも応えられる成果を生み出すことが大切だと感じています。私が挑みたいのは、まだ十分に研究が進んでいない未開拓の分野であり、時間をかけてじっくり取り組みたいと思っています。特に注目しているのは、先人の科学者たちが提唱した理論の中で、まだ実証されていない部分です。そうした理論を改めて検証し、独自の研究成果として積み上げていくことを大切にしています。
2025年1月に、同じ光化学分野の研究者と結婚しました。互いに自分の研究の場を大切にしているため、現在は奈良と福岡という離れた場所で生活していますが、研究の話を常に共有しながら刺激を受けています。将来的には、近くで研究したいと思っています。

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