〔プレスリリース〕物質創成科学研究科高分子創成科学研究室の藤木道也教授らの研究グループが回転する光のエネルギーでらせん高分子の左右を逆にできることを発見(2015/01/08)

研究成果 2015/01/08

分子や高分子を合成する場合、構成する分子構造や高分子構造が同じであっても、立体構造が鏡で映したような鏡像 対称性を持つ「光学異性体」と呼ばれる左右の構造が2種類できてくる。光の向きを時計回りと反時計回りと逆方向に変える旋光性や円二色性と呼ばれる光学的 性質を持ち、味や香りの成分、光学異性体の識別能力、円偏光吸収や円偏光発光特性、医薬品の効能は、左か右のどちらか一方の構造だけが有効に作用する。そ こで分子や高分子の左右構造のどちらかを効率よく発生する、分解する、反転する、長時間安定に固定化するといった手法の開発が1世紀以上世界中で研究され てきた。なかでも円偏光という特殊な光源(右回転と左回転がある)を用いてらせん高分子や光学異性体の左右を発生、反転、固定を自在に可能にする方法は、 精密設計した出発物質や触媒をまったく使用しないため、近年非常に注目を集めている夢の手法。しかしこれまでは円偏光源の回転方向を左右にする制御方法し か知られていなかった。

物質創成科学研究科高分子創成科学研究室の 藤木道也教授と蘇州大学の張 偉教授の国際共同研究チームは、らせん高分子の左右の作り分けは円偏光源の波長(エネルギー)で決定され、円偏光源の回転方向だけでは決められないことを 発見した。同じ右(左)回転の円偏光源を照射しながら、波長の長い可視光では右(左)らせん高分子、波長の短い紫外光では左(右)らせん高分子ができた。 また工業的に安価なメチルアルコール系溶媒を溶媒に用いて屈折率を制御すると、らせん誘起反応が飛躍的に効率よく進行することも発見した。

この成果は、英国王立化学協会から2014年12月23日(火)にオンライン発行された学術雑誌「Polymer Chemistry」に掲載されました。

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