平成28年度学位記授与式を挙行(2017/03/24)

イベント報告 2017/03/29

 3月24日(金)、ミレニアムホールにおいて学位記授与式を行い、先端科学技術の将来を担う396名の修了者を送り出しました。

 授与式では、小笠原学長より学位記が手渡され、式辞が述べられた後、中村茂一本学支援財団専務理事から祝辞が述べられました。

 その後、同財団が優秀な学生を表彰するNAIST最優秀学生賞の表彰を行い、12名の受賞者に同財団から賞状及び賞金が贈られました。

 また、3月の学位記授与式では恒例となった学生・教職員有志による室内楽合奏が披露されました。

 式終了後には記念撮影・祝賀会も行われ、修了生たちは和やかな雰囲気のもと、学長、理事をはじめ指導教員等を交えて歓談し、喜びを分かち合っていました。

※今回の修了生の内訳は、以下のとおりです。

【博士前期課程修了者】

 情報科学研究科    122名(うち短期修了1名、留学生11名)

 バイオサイエンス研究科 114名(うち短期修了1名、うち留学生3名)

 物質創成科学研究科 100名(うち留学生1名)

 計             336名(うち短期修了2名、留学生15名)

【博士後期課程修了者】

 情報科学研究科    17名(うち短期修了4名、留学生7名)

 バイオサイエンス研究科 19名(うち留学生3名)

 物質創成科学研究科  22名(うち短期修了1名、留学生4名)

 計              58名(うち短期修了5名、留学生14名)

【論文提出による博士学位取得者】

 博士(バイオサイエンス) 2名

◆総計 396名(うち短期修了7名、留学生29名)



【学長式辞】

 本日、修士の学位を授与された336名の皆さん、博士の学位を授与された60名の皆さん、おめでとうございます。

 また、修了生のご家族の皆さんにもお祝いを申し上げると共に、修了生の学生生活をご支援いただいたことを、本学を代表して感謝いたします。さらに、留学生の方々の勉学・生活にご支援をいただいた、個人・団体の皆様にも感謝の意を表したいと思います。

 来年度、物質創成科学研究科が創設20周年を迎えますが、皆さんを含めて、奈良先端大の前期課程の修了者は7,265名となり、後期課程の修了者も1,402名となり、本学の修了生のネットワークが年々広がっています。

 また、こうしたネットワークは世界にも広がっています。今日、修士・博士の学位を授与された方々の中には、世界11カ国からの29名の留学生の方がいらっしゃいますが、これで、本学で学位を取得された留学生の方々は、61カ国472名となります。

 奈良先端大の役割は、皆さんを社会に送り出したことで終わるのではなく、変化して行く科学技術・社会の中で、皆さんが新しいことにチャレンジし、クリエイティブな生活を送ることができるように、修了生の方々との持続的な関係を構築して行くことも重要な役割であると教職員は考えています。

 そのため、海外で活躍する修了生の方々との持続的な関係を築いていくために、1年ほど前、インドネシアにNAISTの海外事務所を設置しましたが、この3月にはタイにも第2の海外拠点を設置しました。また、海外で活躍する修了生の方々との共同研究にも積極的に取り組むことを始めています。

 さて、今日の修了生の方々の多くは、これから、社会の様々な場で、先端科学技術の深化や活用に従事するという、新しい生活が始まります。2年前の入学式で、現在、科学技術は大変革の時代にあることをお話ししました。

 我国の科学技術の展開方向・方策を定めた、第5期科学技術基本計画では、ICTの進化等により社会・経済の構造が日々大きく変化する「大変革時代」が到来という認識の下、ネットワークやIoTの活用を、ものづくりだけでなく様々な分野に広げ、経済成長や健康長寿社会の形成、さらには社会変革につなげていき、「サイバー世界」と「実世界」が融合した、必要なもの・ことを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供でき、社会の様々なニーズに対し、きめ細やかに、かつ、効率良く対応できる「超スマート社会」ともいうべき社会が展望されています。

 また、ICT技術は科学技術の発展の駆動力にもなりつつあります。ライフサイエンスの分野ではデータ駆動型サイエンスという新しいパラダイムが生まれ、物質科学の分野でもマテリアルズインフォマティックスという言葉も登場しています。

 皆さんは、科学技術の進展に柔軟に対応し、常に新しい分野を開拓し続けることのできる人材として、新しい科学技術の創造と活用に、主体的に取り組んでいっていただきたいと思います。

 基礎的な研究の成果とその社会的展開の距離が短くなっていることも重要です。基礎研究を指向する方もその社会展開という視点もきちんと持ち、また、様々な課題解決のための技術開発やその活用、普及を指向する方も、基礎科学技術の新たな展開に注目し続けていただきたいと思います。

 そのために、皆さんに求められていることは何でしょうか。最近、機会がある毎に紹介しているのですが、文部科学省の委員会の報告書にある、以下の文章を是非紹介したいと思います。

 知のフロンティアが急速に拡大している現代において、研究者に求められていることは、何よりも知を基盤にして独創的な探究力により新たな知の開拓に挑戦することであり、研究者は常に自らの研究課題の意義を自覚し、明確に説明しなければならない(挑戦性)。新たな知の開拓のためには、学術研究の多様性を重視し、伝統的に体系化された学問分野の専門知識を前提としつつも、細分化された知を俯瞰し総合的な観点から捉えることが重要である(総合性)。また、異分野の研究者や国内外の様々な関係者との連携・協働によって、新たな学問領域を生み出すことも求められる(融合性)。さらに、世界の学術コミュニティーにおける議論や検証を通じて研究を相対化することにより、世界に通用する卓越性を獲得し、世界に貢献する必要がある(国際性)。

 私は、本学での専門知識の習得はもちろんですが、学位論文研究を通して身につけた、課題を発見し、その解決法を考え、実践し、その結果を評価し、様々な人と議論し、論文にまとめるという経験、そして、本学で築いた様々な人的ネットワークが、皆さんの今後の創造的な生活を保証していると確信しています。

 皆さん、おめでとうございます。今後の活躍を期待するとともに、今後も奈良先端科学技術大学院大学は、皆さんの活躍を支援していきたいと思います。

平成29年3月24日
奈良先端科学技術大学院大学長 小笠原直毅

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