平成30年度学位記授与式を挙行(2018/09/25)

イベント報告 2018/09/28

 9月25日(火)、学際融合領域研究棟2号館1階研修ホールにおいて学位記授与式を挙行しました。

 授与式では、横矢直和学長から出席した46名の修了生一人ひとりに学位記が手渡され、門出を祝して、式辞が述べられました。

 式終了後には祝賀会・記念撮影も行われ、修了生たちは和やかな雰囲気のもと、学長、理事をはじめ指導教員等を交えて歓談し、喜びを分かち合いました。

※ 今回の修了生の内訳は、以下のとおりです。

【博士前期課程修了者】

情報科学研究科       12名

バイオサイエンス研究科    7名

物質創成科学研究科      5名

計             24名

【博士後期課程修了者】

情報科学研究科        5名

バイオサイエンス研究科   13名

物質創成科学研究科      5名

計             23名

【論文提出による博士学位取得者】

博士(バイオサイエンス)   2名

総計   49名

【学長式辞】

 本日、修士の学位を授与された24名の皆さん、博士の学位を授与された25名の皆さん、また、この日を迎えることのできたご家族の皆さん、おめでとうございます。

 今回は修士・博士合わせて49名と、9月期としては例年になく多くの方に学位を授与することができ、私としてもうれしい限りですが、その大半の45名は国を離れて本学に入学された海外からの留学生です。

 ちなみに、本学創設以来の学位取得者数は、修士7,625名、博士1,591名となり、このうち、留学生は修士304名、博士289名です。

 今回、前期課程を修了された方のうち16名は、後期課程に進学して研究者を目指してさらなる研鑽を積むと伺っていますが、多くの方は、修士あるいは博士の学位を持つ、プロの研究者・技術者として、新しい社会人生活がこれから始まります。

 現在、科学技術は大変革の時代にあり、科学技術の変化とともに、社会も大きく変わろうとしています。

 最近の科学技術のキーワードはInternet of Things(IoT)、人工知能(AI)、データサイエンスです。このようなICT技術の変革は、情報以外の科学技術分野への影響も無視できません。例えば、バイオサイエンス分野ではバイオインフォマティックス(Bio-Informatics)と呼ばれる研究領域が既に存在し、物質科学の分野でもマテリアルズインフォマティックス(Materials Informatics)という言葉が登場しています。

 すなわち、あらゆるものがインターネットにつながり、「サイバー世界」と「実世界」が融合した「超スマート社会」に向けて、リアルタイムで収集・蓄積され、ネットワークを介して世界中からアクセス可能な大規模データの解析に基づく、データ駆動型サイエンスあるいはAI駆動型サイエンスと呼ぶべき新しい研究パラダイムが生まれているのです。

 このような科学技術の潮流と社会からの要請を踏まえて、皆さんご存知のように、本学は今年の4月に3研究科を統合した先端科学技術研究科を設置し、新たに融合領域の4つの教育プログラムを立ち上げました。

 今日、学位を授与された皆さんは、情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学という、在籍する研究科に対応した異なる領域において自身の研究を極められたわけで、これまで、奈良先端大で領域を超えて一緒に研究したことはないと思いますが、将来、同じチームで仕事をしているということになるかもしれません。また、これからは、皆さんの後輩の中には融合領域のプログラムを履修した人も社会に出てきます。

 2040年代の半ばには、コンピュータの能力が人間の知の総和を越え、シンギュラリティに到達すると言われており、その頃には、今、存在している職業の半分以上がなくなり、新しい職業ができているだろうとの予測もあります。

 2040年代というと、皆さんが社会の中核を担う時代です。皆さんは、広い視野を持つことによって科学技術の変革に柔軟に対応し、常に新しい分野を開拓し続けることのできる人材として、新しい科学技術の創造と活用に、主体的に取り組んでいくことによって、シンギュラリティを力強く乗り越えていっていただきたいと思います。

 皆さんは、本学でそれぞれの分野において専門知識を習得したわけですが、それ以上に、修士論文研究・博士学位論文研究を通して身につけた、課題を発見し、その解決法を考え、実践し、その結果を評価し、論文にまとめるという経験、そして、本学で築いた様々な人的ネットワークが、皆さんの研究者・技術者としての将来の糧になると確信しています。

 奈良先端大の役割は、皆さんを社会に送り出したことで終わるのではなく、変化して行く科学技術・社会の中で、皆さんが持続的にクリエイティブな生活を送ることができるように、修了生の方々との持続的な関係を構築して行くことも重要な役割であると教職員は考えています。

 なお、今年も、11月11日の日曜日にホームカミングデーの開催を予定しています。このようなイベントは、これからも継続して実施されると思いますので、その時には、是非、帰ってきてください。

 最初にも述べましたように、今日、学位が授与された修了生の皆さんのうち、45名は留学生です。奈良先端大は、皆さんを通じて、未来と世界の課題解決のために、海外のサテライトオフィス等も活用しながら、世界で活躍する修了生の方々との海外ネットワークも広げていきたいと思っています。

 皆さん、本日はおめでとうございます。今後の益々の活躍を期待しています。

平成30年9月25日 

奈良先端科学技術大学院大学長 横矢直和

NEWS & TOPICS一覧に戻る