令和元年度 学位記授与式を挙行(2019/12/20)

イベント報告 2019/12/24

 12月20日(金)、事務局棟2階大会議室において学位記授与式を挙行しました。

 授与式では、横矢直和学長から出席した6名の修了生に学位記を手渡し、門出を祝して式辞が述べられました。

 式終了後には記念撮影も行われ、修了生たちは和やかな雰囲気のもと、学長、理事をはじめ指導教員等を交えて歓談し、喜びを分かち合いました。

※ 今回の修了生の内訳は、以下のとおりです。

【博士後期課程修了者】

情報科学研究科       3名

バイオサイエンス研究科   1名

物質創成科学研究科     1名

先端科学技術研究科     1名

計 6名

【学長式辞】

 本日、博士の学位を授与された6名の皆さん、学位取得、おめでとうございます。6名のうち5名は、母国を離れ奈良先端大での勉学と研究の道を選ばれた海外からの留学生です。

 皆さんは、これから、プロの研究者・技術者としての一歩を踏み出すことになります。

 皆さんの修了で、本学創設以来の学位取得者数は、修士8,009名、博士1,665名となりました。この中には、修士343名、博士328名の留学生の方々がいらっしゃいます。  

 現在、科学技術はかつてない大変革の時代にあります。最近の科学技術の変化は人工知能(AI)、Internet of Things(IoT)、データサイエンスといった情報技術の革新によっていると言っても過言ではありません。

 このような科学技術の変革は、情報科学以外の科学技術分野への波及が顕著になっています。例えば、バイオサイエンス分野では従来からバイオインフォマティックス(Bio-Informatics)と呼ばれる研究領域が存在していますが、物質科学の分野でもマテリアルズインフォマティックス(Materials Informatics)と呼ばれる新しい研究領域の存在感が高まっています。

 すなわち、あらゆるものがインターネットにつながり、「サイバー世界」と「リアル世界」が融合した「超スマート社会」に向けて、リアルタイムで収集・蓄積され、ネットワークを介して世界中からアクセス可能な大規模データの解析に基づく、データ駆動型サイエンスあるいはAI駆動型サイエンスと呼ぶべき新しい研究パラダイムが生まれているのです。

 様々な分野での科学技術の変革は、当然、社会にも大きな変化をもたらすことになります。2040年代には、コンピュータの能力が人間の能力の総和を越え、シンギュラリティ(Singularity)に到達すると言われており、その頃には、現在、存在している職業の半分以上がなくなり、新しい職業ができているだろうとの予測もあります。2040年代というのはどのような時代でしょうか。はっきりしているのは、皆さんが社会の中核を担う時代だということです。

 皆さんの多くは、情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学という異なる分野で、それぞれの専門性を磨いてこられたと思いますが、これからは、周辺分野にも目を配って広い視野を持つことによって、科学技術の変革に柔軟に対応し、挑戦心を持って常に新しい分野を開拓し続けることのできる人材として飛躍して頂きたいと思います。

 そして、新しい科学技術の創造と活用に、主体的に取り組んでいくことによって、シンギュラリティを力強く乗り越えていって下さい。

 皆さんが本学で博士学位論文研究を通して身につけた、課題を発見し、その解決法を考え、実践し、その結果を評価し、様々な人と議論し、論文にまとめるという能力とその過程での経験は大事な財産です。

 苦しいこともあったであろう経験、そして、本学で築いた様々な人的ネットワークが、皆さんの将来を保証すると確信しています。  

 奈良先端大の役割は、皆さんを社会に送り出したことで終わるのではなく、変化して行く科学技術・社会の中で、皆さんが持続的にクリエイティブな生活を送ることができるように、修了生の方々との持続的な関係を構築して行くことも重要な役割であると教職員は考えています。  

 今年も、秋のオープンキャンパスに合わせてホームカミングデーを実施しましたが、今後も、このようなイベントを継続して実施したいと思っていますので、その時には、是非、帰ってきてください。その時には、皆さんが在学生のロールモデルになっていることを期待します。

 また、修了生ネットワークの中核である同窓会活動に加えて、インドネシアとタイに設置したサテライトオフィス等を通して世界で活躍する修了生の方々とのネットワークも強化したいと考えていますので、皆さんにもこのような活動に積極的に参加して頂きたいと思います。  

 本日は学位取得おめでとうございます。最後に、皆さんの今後の飛躍を期待していることをお伝えして、式辞としたします。

令和元年12月20日  奈良先端科学技術大学院大学長 横矢直和

NEWS & TOPICS一覧に戻る