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令和8年度学位記授与式を挙行(2026/6/25)

令和8年度学位記授与式を挙行(2026/6/25)

 6月25日(木)、学際融合領域研究棟2号館1階TAKASAGO研修ホールにおいて学位記授与式を挙行しました。
 授与式では、塩﨑一裕学長から修了生に学位記が手渡され、門出を祝して式辞が述べられました。
 当日は式典終了後の会場を記念撮影のために開放し、修了生は和やかな雰囲気のもと歓談し、喜びを分かち合いました。

※ 今回の修了生の内訳は、以下のとおりです。

【博士前期課程修了者】
先端科学技術研究科 1名〈うち留学生 0名〉

【博士後期課程修了者】
先端科学技術研究科 1名〈うち留学生 1名〉

【論文提出による博士学位取得者】
先端科学技術研究科 1名〈うち留学生 1名〉

計 3名(うち留学生2名)

【学長式辞】

 まずは今し方、本学・修士号を授与された方に、心からのお祝いを申し上げます。あなたの人生において記念すべきこの日に立ち会えることを、大変嬉しく思います。また、本日を共に迎えるご家族、指導教員の方々、そしてご友人の皆さんにもお祝いを申し上げたいと思います。あなたが、本学入学以来、粘り強く努力を積み重ね、大学院学位の取得という、人生の一つのマイルストーンに到達したことを誇らしく感じますし、またご自身も、ここNAISTで成し遂げたことに自信と誇りを持っていただきたいと思います。

 大学院修了者は社会全体で見ればまだ少数です。その背景には、ちょうど今、あなたが実感しているように、大学院での学びには時間と努力が必要であるという理由もあるのでしょう。結果として、大学院修了者が社会のさまざまな場においてリーダーとしての役割を期待されるのも、ある意味、自然なことではないかと思います。

 そこで、リーダーシップについて少しお話しをしたいと思いますが、今、ちょうどサッカーWorld Cupの真っ最中ですので、サッカーにおけるリーダーシップについての興味深い研究をご紹介したいと思います。これはアメリカMITのスローン経営大学院、コロンビア大学ビジネススクール、そしてINSEADという有名な私立ビジネススクールの研究者たちの共同研究によるものですが、彼らは世界トップレベルとされるイギリス・プレミアリーグのサッカーチームとその監督たちについて、1992年~2017年の25年間にわたるデータを集め、分析しました。その結果、監督の経歴とチームの得点力に相関があることがわかったのです。すなわち、監督の経歴において、働いたことのある国の数が一つ増えるごとに、その監督が率いるチームの得点は3.42ポイント増えていました。つまり、監督の国際的な経験が豊富なほど、そのチームは強い傾向があったのです。

 しかも、国際的な経験がより優れたリーダーシップにつながるという傾向は、サッカーチームだけではありませんでした。同じ研究者のグループは、例えばオーストラリアの建設会社の管理職などについても調査をしましたが、幅広い国際経験を持つリーダーほど同僚から高い評価を受けているという結果が得られています。

 これらの研究から明らかになった、もう一つの興味深い点は、どれくらいの期間、海外で過ごしたかよりも、どれくらい多くの国々を経験したかが、リーダーとしての資質に貢献するということです。そこから推測されるのは、自分の母国とは違う文化を持つ多様な人々との交流が重要であるということです。異なる習慣や常識、価値観を持つ人たちと相対し、彼らの話を理解し、また、彼らに自分の考えや意思を理解してもらうためのコミュニケーション能力は、組織を率いるリーダーにとって極めて重要なスキルです。

 奈良先端大が、グローバルなキャンパス環境を構築してきた理由の一つが、ここにあります。本学には、世界約50の異なる国や地域から学生や研究者、教員が集まっています。この大学で学び、研究に取り組む中で生まれる、多様な人たちとの交流によって、学生の皆さんは自らのコミュニケーションのスキルも磨くことができるわけです。先月、学術誌Natureに発表された論文では、高等教育機関において民族多様性が高いほど、その修了生の初任給が高いという興味深い報告もなされています。あなたの本学での経験とここで身につけたスキルは、これからのキャリアにきっと役立つものと思います。また、今後、機会をとらえて様々な国を訪ねてみることで、自らに起きる変化を観察してみてください。海外生活や海外旅行は、認知的柔軟性、適応能力、そしていわゆるメタ認知能力を高めることを示す研究もあるのです。

 19世紀の英国の哲学者 John Stuart Millも次のように指摘しています。

「人類の進歩が滞っている現在、私たちが自分とは異質な人々や、馴染みのない考え方、そして行動様式に触れることの価値は、これまでになく高まっている...そのような交流は、これまでも、そしてとりわけ現代においても、発展をもたらす源泉である。」

 世界を旅すれば、実に多様な人々と出会います。また、これから社会に旅立ち、考え方の違う人、意見の合わない人と仕事をすることも必ずあります。多様な人たちとチームで取り組み、協力することで、イノベーションや困難な課題の革新的な解決策を生み出し、新たな価値創造を成し遂げる。そんな経験の中で多様な視点や柔軟な思考法を身に付け、見える風景も変わっていくことに気づくでしょう。あなたの "Outgrow your limits"は、奈良先端大を修了してからも続くのです。

 改めて、本日、本学修了の日をこうして迎えたことにお祝いを申し上げたいと思います。今日、あなたは、これまでにNAISTで学び、この世界をより良くしようとしている1万人を超える同窓生の仲間入りを果たしました。NAIST同窓会は、世界中に広がる修了生のネットワークです。ぜひ積極的に参加し、NAISTとのつながりを大切にしてください。修了生も、NAISTコミュニティの大切な一員です。

 最後に、あなたの前途が実り多く、充実したものとなることを祈念して、私の式辞といたします。

2026年 6月25日
奈良先端科学技術大学院大学長
塩﨑 一裕

※英訳掲載については、以下をご覧ください。

英訳式辞

President's Commencement Address, June 2026

令和8年度学位記授与式を挙行(2026/6/25)

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