日本の研究力向上や若手研究者不足に貢献
2025年は日本の科学者がノーベル生理学・医学賞、化学賞をダブル受賞し、長年にわたり独創性を培ってきた研究力が改めて評価されました。ただ、世界の科学研究の現場や産業界では、世界中から優れた研究人材が結集する拠点で未解明の重要な課題に挑むグローバルな研究態勢が急速に進展しています。その中で、さらに日本が多様な分野の研究拠点として柔軟に適応し、実力を発揮するためには、10年-20年先の研究力の礎となる若手研究者らが、国籍を問わず日本に腰を据え、高度な専門性を発揮して研究に打ち込める環境づくりが欠かせません。また、そのような環境が日本の少子高齢化や若者の理系離れにより予測される研究者不足の事態を改善し、新たな視点からの研究の活性化につながります。
そこで、本学と沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、産官学連携のプラットフォーム「外国籍博士人材の採用・育成サロン」を2026年4月に立ち上げます。
両大学は、大学院博士課程での留学生在籍率が全国トップクラスで、独自のプログラムを組んで留学生のキャリア支援を行ってきました。そうした実績を踏まえ、外国籍博士人材の定着をめぐり、研究者を育成する大学、採用する企業、研究活動をサポートする行政機関と3者それぞれの立場から、キャリア支援や実際の勤務の実情に関する情報や今後の改善・改革の課題について意見を出し合い、問題点を共有して解決策を練る場を設けることになりました。
具体的な活動は、まず、国内企業で実際に活躍する外国籍博士人材の事例から、日本で働き続けるための課題を探ります。次いで、大学の博士留学生の獲得・育成・キャリア支援のさまざまな取り組みを社会に発信し、周知浸透を図って理解を深めます。さらに、内閣府をはじめとする行政機関と連携し、博士留学生支援の政策的実効性について意見交換を行います。そして、産官学が「エコシステム(生態系)」として機能するオンラインサロンを形成し、高度外国人材活用の未来に貢献するプラットフォームの確立を目指します。
その第一歩として、2025年度下半期を本サロン構想期間と位置づけ、セミナーシリーズを開催しています。10月に行われた第一回のキックオフセミナーでは、本学とOISTにおける博士留学生・修了生の実態や特色あるキャリア支援の取り組みを紹介し、サロン立ち上げの背景から企業・行政・大学が共に取り組むべき課題や可能性について考えました。きたる2026年4月27日(月)には、本学学長による基調講演や産学官の有識者によるパネルディスカッションを交えたキックオフシンポジウム・対面交流会を大阪で開催する予定です。
このサロンの立ち上げを発案した谷口直也・本学教育推進機構キャリア支援部門UEAは「本学ではこれまで、長年にわたり留学生たちの〝日本で働きたい″という想いに向き合ってきました。キャリア支援室では2016年に英語対応の留学生キャリア相談枠を設けると同時に、個別の留学生のバックグラウンドや専門性に応じた国内企業を紹介、更には就職後も勤務実態をフォローしてより良いサポート体制を目指してきました。企業の皆様から外国籍博士人材を求めるケースが少しずつ増えてきたこともあり、多くの企業様にこのサロンに参加して大学の取り組みを知ってもらい、外国籍博士人材のポテンシャルを感じてもらうことによって、日本語の壁など問題点を解消する手立てを一緒に考えていきたい」と説明します。
今後のサロンの活動については「産官学の関係者が一堂に集まって議論する交流会をオンラインだけでなく、オフラインでも開くことで、組織の枠を超えて意志ある仲間が積極的にアイデアを出し合える場所をつくりたいと思っています。また、留学生の社会的認知度を高めるために、各大学の博士留学生の就職データなどを編纂する計画も進めています。さらに、外国籍博士人材と企業のマッチングの場を提供できればと考えています」と抱負を語りました。
外国籍博士人材の採用・育成サロン構想の詳細、およびセミナーシリーズの概要・アーカイブ動画の視聴(要申込)はこちらから。
https://naist-job.site/salon/index.html

