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アカデミックアシスタント制度を利用して

笹井 紀明 准教授
・バイオサイエンス研究科 発生医科学研究室(笹井研)

AA八塚敦輝さん

●アカデミックアシスタント(AA)制度について
 私には小学校5年生と1年生の子どもがおり、平成28年4月よりAA制度を週10時間利用させていただいています。AAの八塚さんは私の研究室の大学院生で、彼には研究室の備品管理などの業務、分子生物学的実験や後輩の指導の補助をお願いしています。
 私の研究室では、主にニワトリの卵や培養細胞を用いた研究を行っています。生物学の実験には「絶対にこの時間に細胞を回収しないといけない」「この時間じゃないと卵の中での成長が進んでしまう」というものがあります。実はこれが子どもをもっているとけっこう難しいのです。例えば 12時間の処理を基本とする実験では、朝8時に実験をスタートすると夜8時に、夜7時にスタートすると朝7時に研究室にいる必要があるのですが、ちょうど子どもが家にいて面倒を見ないといけない時間にぶつかってしまうからです。また、私の家は共働きのため、子どもが病気になったり 学校が休校になれば、特に小学校1年生の子はひとりで家に置いておくことはできず、予定した時間通りに研究室に出て来られない日もあります。 AA制度を利用する以前は大学構内の寮に住む学生にボランティア的に作業を頼んだりしていたのですが、本制度を利用することでアルバイト代を 対価として支払うことができ、責任を持って作業をしてもらうことができるため、大変助かっています。また、教員である私のスケジュールが乱れてしまうと、学生を指導する上でも研究室内のモチベーションを保つ上でもいろいろと不都合が生じます。そういう意味では、私の不在中の研究室のケアを、補助的にとはいえ責任をもって引き受けてくれるAAがいることはありがたいです。

●一日のスケジュール
 朝は6時半に起き、妻と協力して朝ごはんを準備し、洗濯機を回して干します。8時前に家を出て職場に向かい、8時すぎから19時前まで仕事をして帰宅します。ただ、子どものお稽古ごとの送り迎えだとか小学校の行事がある日は少しスケジュールが変わることはありますが。小学校は意外に行事があって、とくに今年はPTAの広報委員をしているので会合が定期的にあり、できるだけ時間をやりくりして、これらにも出席するようにしています。
 夜は、先に帰宅する妻が子どもたちと夕飯を済ませてくれていて、私は子どもたちを寝かしつけたあとに仕事をしています。日中は学生とのディスカッションや実験、学内での会議やミーティングなど、大学でしかできないことを優先しているので、家では論文や申請書、メールを書くなどの作業をしています。日によっては夜中までかかるときもありますが、だいたい0時くらいには寝ようと思っています。家事の負担ですが、私はできることはできるだけやろうとしていますけれど、妻は「私のほうがたいへん」と言っています。割合でいうと7対3くらいでしょうか。

●ライフイベントと研究生活の両立
 子育てやライフイベントと研究(または仕事)を両立させる上において、「こうすればうまくいく」というような一義的な解決方法は存在しません。私の場合、共働きという環境のもとで、子どもが小さかったころは保育所のお迎えのほか、急な病気など予期せぬことが起こったときに、仕事のスケジュールとどう折り合いをつけるかという問題はずっと起こってきました。一方、イギリスで研究生活を送っている間に下の子が生まれたのですが、妻の出産直後の約2ヶ月間、短時間勤務を認めていただいたため、研究の進展に深刻な影響を与えることなく異国で子育てをすることができました。このような不規則な勤務を認めてくださった当時の指導者にとても感謝していると同時に、文化の違いこそあれ、日本でも同じような体制がより一般的になればよいと思ったものでした。
 本学着任後も、私の家はどちらも実家が遠いために、子育ては夫婦のみでやって行かなければなりませんが、家庭によっては祖父母の支援が受けられやすいところもあるでしょう。また、子どもの人数や年齢によっても必要なことは変わってきます。スタッフによっては夫婦の一方が単身赴任さ れていたり、あるいはシングルで子育てをされている家庭もあると思います。私自身はAA制度自体には特に要望はありませんが、個人の事情に応じた支援が、今後確立されて行くことを望みます。
 幸い、本学にはシニアから子育て中までいろいろな世代の研究者に加えて女性研究者も多く、異なるバックグラウンドを持った研究者を受け入れる土壌が整っています。そして、これが本学の研究を推進する原動力になっていることは間違いありません。学生たちには多くのモデルケースを目の当たりにし、自身の将来を考える上で何かのヒントを得てほしいですね。また私自身も、本学のスタッフとなった今、これまでの経験を生かして研究の進展だけでなく、研究室のメンバーが自分のキャリア構築とライフスタイルのバランスを保てるよう、環境整備にも微力ながら貢献したいと思います。
(平成28年9月)

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