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東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻博士課程修了。博士(理学)。専門は発生生物学、幹細胞生物学。現在の研究テーマは、胃の発生メカニズムの解明と胃がんモデルの作製。

研究者への道のり

高校生の頃に父から発生学の本を勧められたことがきっかけで興味を持ち、卒業研究で発生生物学の研究室を選択しました。当初は研究者になりたいと思っていたわけではなく、進路も定まっていない状態でしたが、研究を始めてすぐに、世の中にこんなにもおもしろい世界があったのかと感動し、研究に没頭しました。先生やラボのメンバーとディスカッションをするなかで、自分一人では到達できない解釈や解決法が見えた時、世界の見え方が変わるような気持ちがしたことを覚えています。学部生の間に人生を賭けて没頭できるものに出会えたことは幸運だったと思っていますし、そのきっかけを作ってくれた当時の指導教官の平良眞規先生とラボの仲間には心から感謝しています。

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それから、そのままその研究室で修士号と博士号を取得し、国立精神・神経医療研究センターで神経が壊れていくメカニズムの解明と、患者さん由来のiPS細胞を使って病気が発症するメカニズムを解明する研究に3年間取り組みました。その後、産総研に移り間葉系幹細胞の研究をしていたのですが、当時産総研におられた栗崎先生と本学に移ってからは、胃の研究に取り組んでいます。
ですので、もともとは基礎科学の研究からスタートし、やがて臨床応用などの周辺領域に目を向けていったという経緯があります。現在は、基礎と応用の両方に興味があり、胃の発生の仕組みと胃がんの形成機構の二つのテーマに取り組んでいます。基礎研究は臨床応用の発展に必要なものですし、逆に応用研究も基礎研究の方向性を考える上で役立つので、両方を進めることで相乗的に研究を発展させていきたいと考えています。

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本学の研究環境

本学の研究環境はとてもよいと思います。周りの研究者が基礎研究を純粋に楽しむ姿勢はすばらしいですね。発生学の研究をしている研究室のメンバー(稲垣研、別所研、笹井研、磯谷研)と月に2回セミナーをしているのですが、みなさん優秀な方々だなと尊敬していますし、心から基礎研究を楽しんでいる姿が自分の励みになります。私も、皆さんのように周囲に良い影響を与えられる研究者になりたいと思っています。

また、本学は事務手続きなどが非常に簡便で、研究に集中できる時間が長いと感じています。書類仕事が多いと、それだけで半日が終わってしまうことになりかねませんので、ストレス無く研究を進められる今の環境は非常に良いと思っています。
将来的には自分のラボを持ちたいですね。今はそれに向けた研鑽の時期だと考えています。そのためには、自分の研究成果を挙げるだけでなく、学生の指導法や、研究費の獲得なども含めたラボの運営方法など、まだまだ勉強しなくてはならないことがたくさんあります。
本学にはお手本となる素晴らしい教員の方々がいらっしゃいますので、多くのことを吸収できればと思っています。

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一日のスケジュール

朝9時に研究室にきて20時~21時頃まで仕事をしていますが、体調が万全ではないと感じる時は早く帰るなど、仕事をする時間は自分でコントロールしています。本学に着任するまでは研究員でしたが、大学の教員になったので、教育に割く時間が増え、以前より忙しくなったと感じています。土日も半日は大学に来て仕事をしていますね。細胞を培養していると休むことはできないので、なかなか連続でお休みを取ることはできません。ただ、学生の時に体調を崩して2回も入院した経緯があり、体調管理が最優先だと考えていますので、無理はしないようにしています。調子の悪そうな学生には、「疲れたら、ちゃんと休んでね。倒れたら大変だからね。」と伝えています。私は、ワークライフバランスという言葉を考えたことも無いので、ロールモデルとしては適切ではないかもしれませんが、充実した研究生活を送ることができる今の状態にとても感謝しています。

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生き方の多様性に寛容な社会に

生物系の分野は女性の学生も教員も多くいて、女性であることが不利だと感じたことはありません。かつて所属していたラボの仲間には女性も多く、大学や研究機関の研究者として研究を続ける人もいれば、子育てに専念するために仕事をセーブしている方もいて、それぞれが自分の選択した道を歩んでいます。

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私は、生き方に正解も優劣も無いと考えています。両親が期待する理想の娘像や、世間が望む女性像に囚われる必要はなく、自分が楽しく生きることが一番だと思っています。「女性はこうでなくてはならない」といったステレオタイプな考え方が人を苦しめると思いますので、ひとりひとりが自分の生きたいように生きることがあたりまえの社会、生き方の多様性に寛容な社会になればいいなと思います。そして、将来的に「男女共同参画」という言葉や「マイノリティ」という言葉もなくなって、みんなが好きなように生きるのがあたりまえだよって言う社会になればいいなと思います。

研究者を目指す学生に向けて

誰にも将来に対する不安やプレッシャーはあると思います。私も日々落ち込んだり、不安になることがありますが、それ以上に研究が好きであるという気持ちが強かったため、ここまで研究を続けてくることができました。学生のみなさんも、研究に限らず広く世界を見渡して、ぜひ自分の好きなこと、没頭できることを見つけて欲しいと思っています。私も未熟ではありますが、そんな学生さんのやる気を全力でサポートできればと思っています。自分がこれだと思う何かが見つかると人生はとても楽しいですよ。そのためには、自分で考えて、自分で行動し、深く物事を考えなくてはならないと思います。そして時には、たとえ衝突することがあったとしても、たくさんの人と議論しないといけないですね。

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(平成30年6月)

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