バイオサイエンス研究科の箱嶋敏雄教授、河野憲二教授、物質創成科学研究科の冬木隆教授が、文部科学大臣表彰「科学技術賞」を受賞

受賞 2013/04/08

バイオサイエンス研究科の箱嶋敏雄教授、河野憲二教授、物質創成科学研究科の冬木隆教授が、平成25年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞」を 受賞することが決定しました。「科学技術賞」は、我が国の科学技術分野において顕著な功績を挙げた者について、その功績を讃えるために贈られるものです。
※上写真:左から河野教授、箱嶋教授、冬木教授
 下写真:上から箱嶋教授、河野教授、冬木教授

受賞者
箱嶋 敏雄(58歳)
 現職 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 教授

受賞テーマ
「細胞内シグナル伝達タンパク質の分子認識機構の構造研究」

業績
細 胞の巧妙な働きを制御する細胞内シグナル伝達経路は、受容体や種々の制御タンパク質によって構成されている。これらのタンパク質がどのような特異的な相互 作用を通してシグナルを検知して、どのようなメカニズムで伝達するのかを精密に理解することは複雑な制御系を定量的に紐解く鍵であり、現代生物学や現代化 学の重要な課題である。本研究では、重要なシグナル伝達タンパク質である低分子量Gタンパク質や植物ホルモン受容体等がシグナル分子や標的タンパク質と相 互作用している現場をX線結晶解析の手法を用いて高精度で解明した。本研究により解明された複雑な分子認識過程の詳細は、分子レベルでの細胞生物学を深化 するとともに、特異性の高い薬物設計や産業に有用なタンパク質の改良に重要であり、医学・薬学・農学・工学等の分野への応用に寄与する。

受賞についてのコメント
本 学に赴任して以来取り組んできたシグナル伝達の構造生物学研究が今回評価されて、文部科学大臣表彰「科学技術賞」を受賞できたことは喜びです。本学の先端 科学に特化した研究・教育環境や充実した支援体制は大きな助けになりました。また、これらの研究に共同研究者として関わってきた学生や研究者・教職員諸氏 に御礼申し上げます。今後、更に新しい展開を計って、構造細胞生物学の確立に寄与したいと思います。また、次世代の構造生物学分野を開拓できる人材を育成 する立場にあることも自覚しています。


受賞者
河野 憲二(61歳)
 現職 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 教授

受賞テーマ
「蛋白質の機能獲得とその破綻により生ずる細胞生体応答の研究」

業績
小 胞体ストレスを簡便にかつ定量的に測定できるレポーター系を開発、小胞体ストレスの感知機構や小胞体膜上で行われる翻訳の一時停止を利用した効率よいスト レス応答機構を明らかにした。またマウス生体内の狙った細胞群のみを任意の時期に簡便に欠失させる技術であるTRECK法を考案、これにより動物個体レベ ルでの細胞機能や細胞系譜を簡便に解析できるようになった。さらに本法により各種ヒト疾患モデルマウスを樹立した。

受賞についてのコメント
今回上記の業績が評価され文部科学大臣表彰「科学技術賞」を受賞できたことは、本当にありがたいことと思っております。これらの研究の多くは本学に来て行ったもので、苦楽を共に研究を進めてくれた研究室の皆さん、共同研究者の方々に心より感謝致します。
今後はさらに精進してこれらの研究を展開させていく所存ですので、これからもよろしくお願い致します。


受賞者
冬木 隆(62歳)
現職 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 教授

受賞テーマ
「エレクトロルミネッセンスによる太陽電池の画像検査法の開発」

業績
太 陽電池に順方向に電流を注入することによる発光(エレクトロルミネッセンス)画像を撮像することにより、変換効率分布を画像として解析すると同時に、基板 破損、電極破断、などプロセス誘起欠損を瞬時に検査、判別できる技術を開発した。従来法では検査が不可能であった基板内に存在する欠陥や製造時に発生する 欠損が明瞭に検出可能となり、現在、急速に展開している太陽光発電システムの高効率化、信頼性確保を通してクリーンエネルギー社会の実現に大きく寄与す る。

受賞についてのコメント
太陽電池の物性評価の基礎的研究が、新規の欠陥検出評価技術として広く用いられ、さらに、これからま さに展開しようとしているメガーソーラーシステムの信頼性確保や維持管理にまで応用されようとしていることを大変嬉しく思います。今回の受賞は、発端と なった現象を見つけ出し、また、多様な技術的進展を担ってきてくれた多くの学生や研究員の努力の賜物であり深く感謝いたします。本技術のさらなる普及拡大 を目指して研究開発を続けていきたいと思っています。

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