令和元年度学位記授与式を挙行(2019/06/25)

イベント報告 2019/06/25

 6月25日(火)、事務局棟2階大会議室において学位記授与式を挙行しました。

 授与式では、横矢直和学長から出席した6名の修了生に学位記を手渡し、門出を祝して式辞が述べられました。

 式終了後には記念撮影も行われ、修了生たちは和やかな雰囲気のもと、学長、理事をはじめ指導教員等を交えて歓談し、喜びを分かち合いました。

※ 今回の修了生の内訳は、以下のとおりです。

【博士後期課程修了者】

 情報科学研究科       2名

 バイオサイエンス研究科   1名

 物質創成科学研究科     3名

 計             6名

【学長式辞】

 本日、博士の学位を授与された6名の皆さん、学位取得、おめでとうございます。

 皆さんの修了で、本学創設以来の学位取得者数は、修士7,979名、博士1,628名となりました。この中には、修士314名、博士301名の留学生の方々がいらっしゃいます。

 博士の学位を取得された皆さんは、これから、プロの研究者・技術者としての一歩を踏み出すことになります。

 現在、科学技術はかつてない大変革の時代にあります。ここ数年の科学技術のキーワードは情報科学を基盤とする人工知能(AI)、Internet of Things(IoT)、データサイエンスです。これらの技術革新は、当然、社会にも大きな変化をもたらすことになります。

 このようなICT技術の変革は、情報以外の科学技術分野への影響も無視できません。例えば、バイオサイエンス分野ではバイオインフォマティックス(Bio-Informatics)と呼ばれる研究領域が既に存在し、物質科学の分野でもマテリアルズインフォマティックス(Materials Informatics)と呼ばれる新しい研究領域の存在感が高まっています。

 すなわち、あらゆるものがインターネットにつながり、「サイバー世界」と「リアル世界」が融合した「超スマート社会」に向けて、リアルタイムで収集・蓄積され、ネットワークを介して世界中からアクセス可能な大規模データの解析に基づく、データ駆動型サイエンスあるいはAI駆動型サイエンスと呼ぶべき新しい研究パラダイムが生まれているのです。

 このような時代認識のもとに、本学は、融合領域の教育プログラムを強化するために、昨年4月に3研究科を統合した先端科学技術研究科を設置しました。

 2040年代には、コンピュータの能力が人間の能力の総和を越え、シンギュラリティ(Singularity)に到達すると言われており、その頃には、今、存在している職業の半分以上がなくなり、新しい職業ができているだろうとの予測もあります。2040年代というのはどのような時代でしょうか。はっきりしているのは、皆さんが社会の中核を担う時代だということです。

 皆さんは、情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学という異なる分野で、それぞれの専門性を磨いてこられたわけですが、これからは、周辺分野にも目を配って広い視野を持つことによって、科学技術の変革に柔軟に対応し、挑戦心を持って常に新しい分野を開拓し続けることのできる人材として飛躍して頂きたいと思います。

 そして、新しい科学技術の創造と活用に、主体的に取り組んでいくことによって、シンギュラリティを力強く乗り越えていって下さい。

 皆さんが本学で博士学位論文研究を通して身につけた、課題を発見し、その解決法を考え、実践し、その結果を評価し、様々な人と議論し、論文にまとめるという能力とその過程での経験は大事な財産です。

 苦しいこともあったであろう経験、そして、本学で築いた様々な人的ネットワークが、皆さんの研究者・技術者としての将来を保証すると確信しています。

 奈良先端大の役割は、皆さんを社会に送り出したことで終わるのではなく、変化して行く科学技術・社会の中で、皆さんが持続的にクリエイティブな生活を送ることができるように、修了生の方々との持続的な関係を構築して行くことも重要な役割であると教職員は考えています。

 最近は、秋のオープンキャンパスに合わせてホームカミングデーを実施しています。今後も、このようなイベントを継続して実施したいと思っていますので、その時には、是非、帰ってきてください。

 また、修了生ネットワークの中核である同窓会活動に加えて、海外のサテライトオフィス等を通して世界で活躍する修了生の方々とのネットワークも強化したいと考えていますので、皆さんにもこのような活動に積極的に参加して頂きたいと思います。

 皆さん、本日は学位取得おめでとうございます。最後に、今後の益々の活躍を期待していることをお伝えして、式辞としたします。

令和元年6月25日
奈良先端科学技術大学院大学長 横矢直和

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