〔プレスリリース〕クルクミンの抗腫瘍効果を60倍以上高めた化合物を開発 ~副作用のない飲む抗がん剤の開発に期待~

研究成果 2019/10/17

 奈良先端科学技術大学院大学(学長:横矢直和)先端科学技術研究科 バイオサイエンス領域 腫瘍細胞生物学研究室の加藤順也教授はインドネシア ガジャマダ大学薬学部 発癌予防研究センター、長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部、本学 情報科学領域、物質創成科学領域との共同研究により、クルクミンの60倍以上の抗腫瘍効果を持つ化合物を開発しました。  
 

 クルクミンはインドネシア料理やインドのアーユルヴェーダ医療で用いられるスパイスのターメリックの主成分で様々な効能があり抗がん効果も報告されています。クルクミンの抗がん作用は副作用が極めて少ないため有望視されているのですが、抗がん剤として作用するには大量投与が必要なため実用には不向きとされてきました。今回我々はクルクミンの関連化合物の中から極めて優れた抗がん作用を持つ化合物(PGV-1)を発見し詳細に解析しました。この結果、PGV-1はクルクミンと比べて60倍以上の増殖抑制効果を示し、細胞周期停止、細胞老化誘導、細胞死誘導など優れた抗がん作用を発揮しました。一方で正常細胞には影響を示しませんでした。また、マウスを用いた動物実験では、クルクミンでは効果が乏しい経口投与でも高い腫瘍抑制能を示しました。この際、マウス個体には副作用の兆候は全く見られませんでした。従って、PGV-1の研究を進めることで、副作用のない抗がん剤の飲み薬を開発することが期待できます。

 この成果は、英国時間(夏時間)の2019年10月16日(水)午前10時【プレス解禁日時:日本時間2019年10月16日午後6時】付で Scientific Reports誌のオンライン版に掲載されました。

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