【プレスリリース】器官サイズの左右差を抑制する仕組み -適切な血糖値の調節が器官サイズのばらつきを抑制する-

研究成果 2020/04/07

 理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター成長シグナル研究チーム(研究当時)の松下亮太研修生(本学バイオサイエンス研究科修士課程学生)、西村隆史チームリーダー(本学バイオサイエンス研究科客員准教授)の研究チームは、栄養環境の変化に応じて血糖値を適切に調節する仕組みが、器官サイズのばらつきを抑制することを明らかにしました。

 本研究成果は、発育・成長過程で経験するさまざまな体内・体外の環境変化に応じて、生体の状態を一定に保ち、器官サイズを正確に制御する仕組みを明らかにするものであり、今後、器官サイズ制御だけでなく、健康評価のさらなる理解に貢献すると期待できます。

 今回、研究チームは、モデル生物としてキイロショウジョウバエを用いて、食後高血糖・空腹時低血糖などの血糖恒常性の破綻を引き起こす遺伝的変異が、「発育恒常性」の低下(個体間・個体内の器官サイズのばらつき)を引き起こすことを明らかにしました。さらに、さまざまな栄養ストレスを与えたところ、野生型のハエでは器官サイズのばらつきが大きく変化しなかったものの、遺伝的変異を持つと、発育恒常性のさらなる低下を示しました。これらの結果から、血糖値を適切に調節する代謝恒常性と発育恒常性の直接的な因果関係が示されました。

 本研究は、オンライン科学雑誌『Communications Biology』(4月7日付)に掲載されました。

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