〔プレスリリース〕発見!根の先端は橋と同じだ! ―器官の形に生物種を超えた共通性をもたらす物理―

研究成果 2021/03/03

発見!根の先端は橋と同じだ!
―器官の形に生物種を超えた共通性をもたらす物理―

【概要】

 奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科の郷達明助教と津川暁特任助教と中島敬二教授、大阪大学大学院理学研究科の藤原基洋さん(研究当時:博士後期課程3年)と藤本仰一准教授、神戸大学大学院理学研究科の深城英弘教授の研究グループは、根の先端の輪郭が多くの生物種で共通して、橋などの建築物に広く見られるカテナリー曲線と一致することを明らかにしました。
 動物の骨や植物の根など器官の輪郭の形は、種を超えて共通しているように見えます。この見かけの共通性を数学的に検証すること、また共通性を生み出す仕組みを生物学的に解明することは、生き物が進化を通じて環境にどう適応してきたかを知る手がかりになります。
 今回、本研究グループは、根の先端の輪郭を定量的に解析する手法を考案しました。その結果、ネギ、キュウリ、スミレ、ナデシコ、コスモスなど多様な植物分類群に跨がる10種の根の輪郭が、いずれもカテナリー曲線に一致することを発見しました。また、遺伝子の変異を通じて、根の細胞分裂や伸長からカテナリー曲線を作りだす仕組みを明らかにし、計算機シミュレーションで実証しました。カテナリー曲線は力学的に安定な曲線で、建築物にも採用されています。今回の発見により根の先端も力学的に安定な形であることが示されました。この安定なカテナリー曲線が、根の効果的な成長にどのような役割を果たしているのか、今後の解明が期待されます。

 本研究成果は、英国科学誌「Development」より2021年2月26日(金)21時(日本時間)に公開されました。

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