令和3年度学位記授与式を挙行(2021/9/24)

イベント報告 2021/10/04

 9月24日(金)、新型コロナウイルス感染防止対策を実施の上、ミレニアムホールにおいて学位記授与式を挙行しました。
授与式では、塩﨑一裕学長から修了生代表者に学位記が手渡され、門出を祝して式辞が述べられました。
 また、当日は、式典の模様をインターネットによりリアルタイムで配信したほか、式典終了後の会場を記念撮影のために開放し、修了生たちは和やかな雰囲気のもと、指導教員等を交えて歓談し、喜びを分かち合いました。

※今回の学位授与者の内訳は、以下のとおりです。

【博士前期課程修了者】

先端科学技術研究科     25名(うち留学生16名)

【博士後期課程修了者】

物質創成科学研究科     1名

先端科学技術研究科     29名(うち留学生22名)

【論文提出による博士学位取得者】

情報科学研究科     1名

総計 56名(うち留学生38名)

【学長式辞】

 初めに、このたび学位を授与された博士前期課程25名、博士後期課程31名の皆さん、一人一人にお祝いを申し上げます。
 また、本日の学位授与式がオンラインや録画によるものではなく、こうして皆様にお会いできたことを嬉しく思います。

 30年前、私も一人の大学院生でした。ですから学位を取得するということは平時でも決して易しくないということを知っています。ましてや新型コロナウイルス感染症の拡大という現在の困難な状況の下、皆さんは学位取得という目標を見据え、懸命な努力を積み重ねてきました。皆さんの中には今、今日というゴールにたどり着くためのこれまでの苦労を思い起こしている方もおられるでしょう。睡眠不足に耐え、土日もラボで研究に励み、故郷の家族や友人に会えない寂しさに苛まれたこともあったかと思います。皆さんがこの試練に押しつぶされず、乗り越えたことを誇りに思います。

皆さんの努力に敬意を表すると同時に、これまで皆さんを助け、支えてくださった方々にも御礼を申し上げます。指導教員をはじめとする先生方、ご家族の皆様、そして友人たち。本日この式場にはおられないかもしれませんが、皆さんと共に大きな拍手を送りたいと思います。

 さて、この学位授与式という場は、皆さんがNAISTで「何を学んだか」を振り返る絶好の機会でもあります。皆さんは自分が何を学んだと思いますか。科学技術に関する最先端の知識でしょうか。残念ながら、習得したはずの最新の知識も、皆さんがこのキャンパスを一歩出るやいなや、時代遅れのものとなってしまいます。

 大学院を修了する皆さんが学んだ最も重要なことの一つは、「自ら学ぶ」ことなのです。学位論文研究を通じて、皆さんは自分自身を常にアップデートし、アップグレードし、そして人々と共有できる新たな価値を生み出すことを学んだのです。

 ここで、日本の600年前の能楽者、世阿弥について少しお話しさせてください。世阿弥の名前は皆さんも聞いたことがあるかもしれません。現在でも上演される50曲近くの演目に加え、彼は幾つもの演劇論を現在に遺しています。その中の一つに「風姿花伝」があります。海外でも"The Book of Transmission of the Flower"として知られているものです。この本は奈良にある能楽の宗家に秘伝書として伝わり、20世紀になって初めて出版されたものです。

  「風姿花伝」の中で世阿弥は"住する所なきを、まづ花と知るべし"と書いています。"Never dwell to be a flower"とでも訳せるでしょうか。世阿弥は「現在の居場所、現在の自分自身に満足してはいけない」ということが言いたかったのだと思います。本学を修了する今日という日がこれまでの人生で最も輝かしい日だとしても、皆さんは今の自分に留まってはならないのです。自分自身を見直し、再構築し続けて、いつか大輪の花を咲かせるのです。

感染症や地球規模の温暖化といった前例のない困難に直面し、世界はこれまで以上に大きな「花」を必要としています。この世界は、我々の最も新しい同窓生である皆さんを待望しています。前例のないような困難は、自身が成長し、地球規模の課題の革新的な解決策に貢献するための、これまでにないチャンスを皆さんに与えてくれます。

 それでは、どうすれば自分自身を再構築し続けることができるのでしょうか?

 アドバイスを一つ、皆さんに差し上げたいと思います。渡辺美里さんという歌手の「My Revolution」という歌の一節です。彼女は本学にほど近い京都府精華町の出身です。「My Revolution」は1986年に発売され、当時、日本で最も売れた楽曲の一つです。

 この歌の中に※"わかり始めたmy revolution明日を乱すことさ"という歌詞が登場します。自己を変革していくために、明日、何か新しいことに挑戦しよう、と歌っています。大それた行動である必要はありません。小さな挑戦によって自分の思考や行動の型を「乱す」ことなのです。これを何度も繰り返すことによって皆さんは、今日、学位を得た自分よりも更に誇りに思えるような人間へと成長していくことができるのです。

近い将来、毎年秋に実施するホームカミングデー等の場で、本学が誇る同窓生の一員となった皆さんに再会できる日を楽しみにしています。卒業しても皆さんはNAISTコミュニティーの一員であることを忘れないでください。本学は1万人を超える修了生を輩出し、同窓会は修了生による世界的ネットワークの基盤となっています。皆さんも是非このネットワークに加わってください。

 改めて、修了生各位に心からお祝いを申し上げるとともに、これからの輝かしい未来を祈念して、本日の祝辞の結びとさせていただきます。

Outgrow your limits!

令和3年9月24日

奈良先端科学技術大学院大学長 塩﨑一裕

※" "は、渡辺美里氏の「My Revolution」より引用

●実際の式辞は英語で行われました。

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