平成27年度学位記授与式を挙行(2015/06/25)

イベント報告 2015/06/29

6月25日(木)、事務局棟2階大会議室において学位記授与式を挙行しました。
小笠原直毅学長が、出席した7名の修了生一人ひとりに学位記を手渡し、門出を祝して、式辞を述べました。

式終了後には記念撮影も行われ、修了生たちは和やかな雰囲気のもと、学長、理事をはじめ指導教員等を交えて歓談し、喜びを分かち合いました。

※ 今回の修了生の内訳は、以下のとおりです。


【博士後期課程修了者】
情報科学研究科     4名
バイオサイエンス研究科   3名
物質創成科学研究科  1名

計 8名


【学長式辞】
本日、博士の学位を授与された8名の皆さん、おめでとうございます。明日から、博士の学位を持つ、独立した研究者としての新しい生活が始まるわけです。

今、 科学技術は大変革の時代にあることが、様々な場で議論されています。例えば産業界では、第4次産業革命の最中にあるとの考えが広まっています。すなわち、 18世紀後半の蒸気機関による自動化という第1次産業革命、20世紀初頭の電力の活用による第2次産業革命、そして1980年代のコンピュータによる自動 化という第3次産業革命を経て、現在、IoTによる自動化という第4次産業革命が始まっているという認識です。

科学技術の世界でも、急速 な変化が起こっています。我が国の科学技術の推進方策を議論している文部科学省の会議で、「現在の研究の最前線では、測定、分析、計算技術の進展等によ り自然現象や社会現象に関する認識の範囲が急速に拡大しており、情報量の増加、計算科学の飛躍的進歩による情報処理速度の加速、交通・通信ネットワーク の進展による情報の伝播・共有の高速化などを背景に、学術研究自体が急速に拡大し、その有り様が変化している。生命科学、材料科学など広範な領域 で新たな学際的・分野融合的領域が展開するなど、知のフロンティアが急速に拡大している。

そして、例えば、コンピュータ性能の飛躍 的向上により、実験の代替・補完や未知の状況を予測するシミュレーションによる方法や、ゲノムデータ、地球観測データ、人の活動データ等の多様なビッグ データの統合により新たな知を創出するデータ科学が台頭しつつある」と、議論されています。

実際、その結果、ライフサイエンスの分野で は、モデル生物のシステムとしての理解に加えて、自然界の多様な動植物・微生物を理解し、保全・活用することが期待されます。ICT技術についても、先進 国と言われている社会だけでなく、様々な社会基盤に展開することにより、新しい社会システムが生まれるかもしれません。いずれにしても、今後の科学技術の 展開は、私たちの現在のイメージを超えたものになるのではないでしょうか。

皆さんには、奈良先端大の修了生として、こうした新しい科学技術の創造と活用に、主体的に取り組んでいっていただきたいと思います。

そのために皆さんに求められていることは何でしょうか。最近、機会があるごとに紹介しているのですが、文部科学省の委員会の報告書にある、以下の文章を是非紹介したいと思います。

知 のフロンティアが急速に拡大している現代において、研究者に求められていることは、何よりも知を基盤にして独創的な探究力により新たな知の開拓に挑戦す ることであり、研究者は常に自らの研究課題の意義を自覚し、明確に説明しなければならない(挑戦性)。新たな知の開拓のためには、学術研究の多様性を 重視し、伝統的に体系化された学問分野の専門知識を前提としつつも、細分化された知を俯瞰し総合的な観点から捉えることが重要である(総合性)。ま た、異分野の研究者や国内外の様々な関係者との連携・協働によって、新たな学問領域を生み出すことも求められる(融合性)。さらに、世界の学術コミュニ ティーにおける議論や検証を通じて研究を相対化することにより、世界に通用する卓越性を獲得し、世界に貢献する必要がある(国際性)。

し たがって、研究者は、自己の専門分野の研究を突き詰めた上で、分野、組織などの違い、さらには国境を越えて異なる価値や文化と切磋琢磨しつつ対話と 協働を重ね、社会の変化に柔軟に対応しながら、新しい卓越した知やイノベーションを生み出すために不断の挑戦をしていくことが求められる。このよう に、現代の学術研究には、いわば「挑戦性、総合性、融合性、国際性」が特に強く要請されている。

皆さんには、こうした姿勢で、新たな社会、世界の創造に、主体的に取り組んでいっていただきたいと思います。

私は、本学での専門知識の習得はもちろんですが、学位論文研究を通して身につけた、課題を発見し、その解決法を考え、実践し、その結果を評価し、様々な人と議論し、論文にまとめるという経験が、皆さんの今後の創造的な生活を保証していると確信しています。

皆さん、おめでとうございます。今後の活躍を期待するとともに、今後も奈良先端科学技術大学院大学は、皆さんの活躍を支援していきたいと思います。

平成27年6月25日 
奈良先端科学技術大学院大学長 小笠原直毅

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