平成29年度 秋学期入学式を挙行(2017/10/2)

イベント報告 2017/10/02

 10月2日(月)、学際融合領域研究棟2号館1階研修ホールにおいて平成29年度 秋学期入学式を挙行しました。本学では、国内外を問わず、また出身大学での専攻にとらわれず、高い基礎学力を持った学生あるいは社会で活躍中の研究者・技術者などで、将来に対する明確な目標と志、各々の研究分野に対する強い興味と意欲を持った者の入学を積極的に進めており、このたび、59名の新入生を本学に迎えました。

入学者数

(博士前期課程)
  情報科学研究科 18名(うち外国人留学生 17名)
  バイオサイエンス研究科 5名(うち外国人留学生 5名)
  物質創成科学研究科 5名(うち外国人留学生 5名)
  計 28名

(博士後期課程)
  情報科学研究科 14名(うち外国人留学生 11名)
  バイオサイエンス研究科 6名(うち外国人留学生 6名)
  物質創成科学研究科 11名(うち外国人留学生 8名)
  計 31名

総計 59名(うち外国人留学生 52名)

【学長式辞】

 本日、奈良先端科学技術大学院大学の博士前期課程に入学された28名の皆さん、また、博士後期課程に入学・進学された、31名の皆さん、本学の教職員360名を代表して歓迎致します。

 今日の新入生の皆さんの中には、世界11ヵ国からの52名もの留学生の方々がいらっしゃいます。母国を離れて、この日本で学ぶことを決意された皆さんを、心から歓迎したいと思います。皆さんが入学されたことにより、本学に在籍する留学生は、世界30ヵ国からの218名となり、全学生数1,061名の約20%となりました。本学が標榜しているグローバルキャンパスの実現が近づいていることを実感します。

 まず、皆さんに、現在、科学技術はICTの進化等によって大変革の時代を迎えているということをお話ししておきたいと思います。科学技術の変革は産業や社会に大きな変化をもたらします。

 産業面でのこの変革を表現した最も代表的な標語はドイツから提唱されたIndustry 4.0です。蒸気機関の発明に端を発した移動手段・作業の機械化による19世紀の第1次産業革命、電力を活用した大量生産による20世紀初頭の第2次産業革命、コンピュータ技術と電子システムがもたらす自動化による20世紀後半の第3次産業革命に続いて、インターネットとセンシングの統合がもたらす機械・システムの自律化による第4次産業革命の時代を迎えているというわけです。

 また、我が国では、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会の次に来る社会として、サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合した超スマート社会としてのSociety 5.0が展望されています。

 現在起こっている変化の特徴は、変化が、かつて経験したことがないほど速いスピードで、世界規模で起こるということです。新しいビジネスモデルを掲げて登場したベンチャー企業が10年余りで世界的な大企業になり、瞬く間に国家レベルの規模になっているのを目のあたりにすると、このことを実感できると思います。

 科学技術の変革は多くの場合、異分野の融合によって起こっていると言えます。本学は、「先端科学技術分野における研究を推進するとともに、優れた研究成果に基づく高度な教育により人材を育成し、もって科学技術の進歩と社会の発展に貢献する」ことを教育研究活動の基本的な目標として掲げていますが、研究の対象となる先端科学技術は本学設立時と現在では、研究の方法論を含めて大きく変わってきています。

 現在の情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学の3研究科が設立された当初は、それぞれ独立した学術分野と考えられ、バイオインフォマティックスの萌芽は見られたものの、研究科の枠を越えた共同研究は少なかったと思います。

 それが現在では、ゲノム情報や生体分子の時空間分布が大量の情報として蓄積されるようになり、ビッグデータバイオロジーと呼ばれる情報科学とバイオサイエンスの融合領域が生まれています。

 また、物質科学の分野においても、マテリアルズインフォマティックスという情報科学との新しい融合分野が生まれつつあります。

 本学は、キャンパスと組織がコンパクトで、研究室・研究科の壁が低いことが大きな特徴です。このような特徴を活かして、現在では、複数の研究科にまたがった共同研究が活発に行われています。

 このような現在の状況は想定されていなかったことではなく、実は、本学の創設に先だって、平成3年8月に取りまとめられた創設の構想において述べられていることでもあります。

 例えば、研究に関しては、「先端科学技術分野は、広範な学際的広がりを持ち、基礎研究における新しい展開が見られ、しかもその展開が極めて急速である」「これらの分野においては、従来の学問分野の枠を越えて、学際的な基礎研究の推進が極めて重要である」と述べられています。

 また、教育に関しても、「これらの分野においては、科学技術の進展に柔軟に対応し、常に新しい分野を開拓し続けることのできる高度の基礎力を持つ多様な人材を養成することが必要である」と言っています。

 このような本学創設の理念を具現化するとともに、本学の特徴とこれまでの実績を活かす形で、来年の4月には、現在の3研究科を統合して、融合領域の教育プログラムの充実に重点を置いた1研究科体制(先端科学技術研究科)に移行します。

 皆さんは3研究科体制の下に入学した最後の学生となるわけですが、来年からは新しい教育プログラムの授業科目を履修することによって、どの研究科に入学していても、融合領域の息吹きを感じ、新しい知見を得ることができます。

 自分の狭い専門分野に閉じこもることなく、新体制での授業カリキュラム等を活用して、常に周辺分野の動向に目を配り、幅広い視野を養っていただきたいと思います。是非、本学で新しいことに『挑戦』してください。

 本学の教職員は、皆さんが本学で新しいことに挑戦できるよう、努力を惜しまないつもりです。

 皆さんのこれからの有意義な学生生活とそれを通した将来の大いなる飛躍を期待して、式辞とします。

 本日は、入学おめでとうございます。

平成29年10月2日
奈良先端科学技術大学院大学長
横矢直和

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