根の先端の細胞がスムーズに剥がれ落ちる仕組みを解明 -オートファジーが細胞を作り変えていた-

研究成果 2022/06/17

根の先端の細胞がスムーズに剥がれ落ちる仕組みを解明
-オートファジーが細胞を作り変えていた

概要

 奈良先端科学技術大学院大学(学長:塩﨑 一裕)先端科学技術研究科 バイオサイエンス領域の植物発生シグナル研究室 中島 敬二教授、郷 達明助教らの研究グループは、神戸大学大学院理学研究科 深城 英弘教授、香港中文大学 Byung-Ho Kang(カン・ビョンホ)准教授らと共同研究を行い、植物の根の先端を覆う根冠(こんかん)という組織(図1)の最外層の古い細胞が自ら剥がれ落ちて根の成長を促し、土壌の環境にも影響を与えるという仕組みについて、「オートファジー」という細胞の自己分解システムが細胞の内部構造を作り変えることにより、剥離様式を精密に調節していることを明らかにしました。

 今回、研究グループは独自に開発した特殊な顕微鏡技術を駆使し、根冠細胞が剥離するまでの細胞の変化を詳細に観察したところ、剥離の直前にオートファジーのシステムが働き、細胞内の構造を劇的に作り変えることを突き止めました。さらに、このオートファジーによる細胞の作り変えが、根冠細胞の精密な剥離に重要な役割を担っていることを明らかにしました。根冠は成長する根の最前線にあり、根端を保護するほか、重力を感じたり、代謝物を分泌したりする細胞が機能ごとに順に層をなして積み重なり、また、最外層の剥離する細胞を通じて土壌の性質を作り変えるなどの重要な役割を担っています。根冠細胞の働きや剥離を制御する仕組みを解明した本研究成果は、植物の成長力向上や土壌環境の改善にもつながるものです。

詳細はこちら

問い合わせ先

研究に関すること

  • 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 バイオサイエンス領域
    植物発生シグナル研究室 助教 郷 達明
    TEL:0743-72-5568 FAX:0743-72-5569 
    E-mail:goh[at]bs.naist.jp

 教授 中島 敬二
 TEL:0743-72-5560 FAX:0743-72-5569 
 E-mail:k-nakaji[at]bs.naist.jp
 研究室紹介ホームページ:https://bsw3.naist.jp/nakajima/

報道に関すること

  • 奈良先端科学技術大学院大学 企画総務課 渉外企画係
    TEL:0743-72-5026/5063 FAX:0743-72-5011 
    E-mail:s-kikaku[at]ad.naist.jp
  • 神戸大学 総務部 広報課
    TEL:078-803-5453 
    E-mail:ppr-kouhoushitsu[at]office.kobe-u.ac.jp

※上記アドレスの[at]を@に置き換えてください。

プレスリリース一覧に戻る