電子図書館システムの刷新で利用者個別のニーズに柔軟な対応─利用者が使いやすいように構成可能なMyLibrary機能の運用開始─

2008/04/07

【要旨】
高度情報化社会における大学附属図書館を取り巻く環境は急速に変化しており、大学附属図書館はあらゆる 情報源を利用して教育研究に必要不可欠な情報収集活動を支援していかなければいけません。このため、常に時代の変化に柔軟に対応できるシステムを提供して いこうと、奈良先端科学技術大学院大学(学長:安田國雄)は、同大学附属図書館(館長:千原國宏)に設けた国内最大規模の電子図書館システムを刷新しまし た。今回のシステムでは、利用者一人一人が利用形態にあわせた専用のホームページを作成できるMyLibrary機能を実現します。また、授業や講演の映 像コンテンツをネットワークを介して閲覧できるという既存のビデオアーカイブシステムに映像検索等の新機能を追加しています。学生を中心とした利用者の利 便性を大幅に向上させています。
システムの構築にあたっては、株式会社リコー(本社:東京都、社長執行役員:近藤史朗氏)の図書館情報管理システ ム「LIMEDIO(リメディオ)」、マルチメディアWebコンテンツ自動生成ツール「MPMeister(エムピーマイスター)」をベースに、これまで 培ってきた映像検索技術、高速全文検索技術等、さまざまな最先端技術を結集しています。

【概要】
附属電子図書館は本学情報環(曼陀羅ネットワーク及び曼陀羅システム)を基盤とした中核設備として、耐障害性の高いシステムになっています。これらの基盤システムとさまざまな技術を用いることにより、後述する新機能が実現可能となりました。

【 今回の附属図書館システムの特徴 】
1. MyLibrary機能 (平成20年度運用開始)
利 用者一人一人の利用形態にあわせて、専用のホームページを構築できるようになります。これにより、定期的に参照しているコンテンツ、自分自身の検索履歴等 の管理、オンラインコンテンツの管理が行えるようになります。また、電子図書館内に格納された資料とオンラインジャーナルを横断的かつ効率的に検索・管理 ができるようになります。
(ア) 利用者専用ページ
新しいタブ、ウィジェット(Widget)として配置されたアプリケーションを追加・削除することができます。
(イ) 効率的な検索
MyLibrary に用意された検索アプリケーション「LIMEDIO SEARCH」により、学内所蔵の検索や学内外の資料の横断検索を行うことができます。

2. ビデオアーカイブシステム(平成20年度よりの新機能)
(ア) 講義等のコンテンツ完全自動アーカイビング
事 前に登録された授業スケジュールの情報に基づき、講義室に常設されているデジタルビデオカメラで授業風景の映像を自動的に撮影します。また、講師が持ち込 んで利用するパソコンに表示するパワーポイントのスライドデータだけでなくページをめくるタイミングも自動的に記録します。これらの情報は、撮影された映 像とともに自動的にサーバーに送られ、映像と資料が同期したコンテンツが生成され、ウェブで公開されます。これにより、運用コストが削減されるだけでな く、講義が行われてからコンテンツのウェブでの公開までの期間が、大幅に短縮されます。また、できあがるコンテンツの品質も一定に保たれます。
(イ) 映像検索
コンテンツを生成する際に映像を構造化し、スライドの中のすべてのワードを検索キーワードとして使えるように、ISOの国際標準であるMPEG-7(マルチメディアに付加するメタデータの記述規格)の規格に従ったメタ情報を記録することにより実現しています。
(ウ) ハイビジョン映像への対応
放 送局等の専門分野や個人の家庭用映像のみならず、教育研究分野においても高画質化のニーズが将来高まることを予測し、ハイビジョン撮影による映像について もハンディーカメラで撮影・登録することで、自動撮影の映像と同様に、資料と連動したコンテンツ作成・配信を可能としています。

システム導入の本学担当者は以下のとおり
・情報科学研究科 インターネット・アーキテクチャ講座・附属図書館研究開発室
附属電子図書館研究開発室長 准教授 藤川 和利
・    〃    インターネット・アーキテクチャ講座・附属図書館研究開発室
教授  砂原 秀樹
・    〃    情報コミュニケーション講座・附属図書館研究開発室  助教  寺田 直美
・    〃    情報科学センター               助手  辻井 高浩

なお、本システムの 導入にあたっては、以下の組織と連携・協力をいただいています。
株式会社リコー、
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、
サン・マイクロシステムズ株式会社、
物産ネットワークス株式会社、
デジタルリサーチ株式会社

【 本学の電子図書館について 】
本学附属図書館(電子図書館)は、全国大学図書館のパイロットシステムとして当時の文部省から支援を受け、我が国最初の実用型電子図書館として、平成8年 4月にサービスを開始しました。現在、電子図書館へのアクセスは1日平均約5千件で、その約半数は学外からのアクセスとなっています。
これまでに 図書や雑誌、学内論文から電子化を行ったものは、約25,000冊、301万ページにのぼり、映像資料も講演ビデオが約2,100件(時間にして約632 時間)、平成17年度から試行的に開始した授業アーカイブも既に1,500件を数えています。これら電子コンテンツは学内所蔵検索システムで検索、表示・ 視聴することができ、大学の電子図書館システムとしては日本国内最大規模を誇っています。これだけの大規模システムを支えているのは、最大8ギガビットで の多重化を行った基幹ネットワークを2セット用意した、高速かつ障害に強いネットワーク統合情報処理環境「曼陀羅」です。国内外の学術研究ネットワークと の高速な接続の実現で、広域ネットワークにおけるさまざまなサービスが利用可能になっています。本学の電子図書館システムは、この「曼陀羅」を基盤とし て、図書館に来館せずとも、冊子からの電子化資料や講演ビデオや授業アーカイブなどの映像資料が24時間閲覧・視聴できるデジタルアーカイバ環境を実現し ています。

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