平成20年度文化功労者の顕彰について

2008/10/28

奈良先端科学技術大学院大学 磯貝 彰名誉教授が、文化功労者として顕彰されることが、文部科学省から発表されました。

奈良先端科学技術大学院大学特任教授・名誉教授
  いそがい あきら
  磯 貝   彰
  昭和17年4月1日生

昭和39年3月 東京大学農学部農芸化学科卒業
昭和39年4月 森永製菓株式会社製菓研究所
昭和45年6月 東京大学農学部助手
昭和55年5月 東京大学農学部助教授
平成6年4月 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科教授
平成10年4月 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科長
(平成12年8月まで)
平成16年4月 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科長
(平成17年3月まで)
平成17年4月 奈良先端科学技術大学院大学理事・副学長(平成19年3月まで)
平成19年4月 奈良先端科学技術大学院大学名誉教授
平成19年4月 奈良先端科学技術大学院大学特任教授(現在に至る)

(賞)
昭和52年4月 農芸化学奨励賞(「薬用植物に含まれる昆虫生理活性物質に関する化学的研究」に対して)
平成8年3月 日本農芸化学会賞(「アブラナ科植物の自家不和合性に関する生物有機化学的及び分子生物学研究」に対して)
平成13年4月 日経BP技術賞大賞(汎用性の高いハイブリッド種子作製技術」に対して)
平成14年6月 日本学士院賞(「アブラナ科植物の自家不和合性にかかわる自他識別機構の研究」に対して)

生物有機化学、応用分子細胞生物学の分野において、植物特有の生殖形態である自家不和合性の機構を解明し、この成果を応用して、収量に優れるなどの利点のあるハイブリッド種子を効率的に生産する技術を開発するなど、斯学の発展に多大な貢献をした。
氏 は、ダーウィンの時代から知られているにもかかわらず長い間謎であつた、植物特有の生殖形態である自家不和合性の機構を解明した。自家不和合性とは、1つ の花の中に、正常なめしベとおしべが存在するにもかかわらず、自らの花粉では受精することができず、種子の形成には、他の個体に由来する花粉を必要とする 現象であり、種の遺伝的な多様性の維持拡大に寄与している。氏は、アブラナ科の植物を対象に、自らと他を認識する反応を支配しているめしべ側の因子とおし べ側の因子(花粉側因子)の構造を決定するとともに、この特異な生物現象の根幹的な仕組みを、世界に先駆けて分子レベルで解明した。
さらに、氏 は、これらの基礎研究の成果を基に応用技術への展開を行い、植物の種子において、収量に優れるなどの利点があるハイブリッド種子を遺伝子組み換えによって 効率的に生産する技術を開発することに成功した。これは穀物などにも応用できる技術であり、将来に向かって世界的に大きな問題になりつつある食糧問題に対 するキー技術のひとつとして期待されている。
以上のように、植物特有の生殖形態の機構の解明に優れた業績を挙げ、その成果を基に食糧間題への対応策として期待される技術の開発を行った氏の業績は、誠に顕著である。

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