世界初! バイオ技術で新メモリの動作に成功-次世代超高性能メモリの実現への一歩-

2009/11/26

【要旨】
インターネット社会が発展するに伴い、膨大なデータを素早く記憶処理する超高密度で高性能の次世代半導体メモリの開発が求められている。 奈良先端科学技術大学院大学(学長:磯貝彰)物質創成科学研究科の浦岡行治教授、上沼睦典助教らの研究グループは、山下一郎教授らの研究グループととも に、電源を切ってもデータを失わない抵抗変化型のメモリについて、世界で初めてバイオ技術によりナノ粒子を含ませる形で高密度化して作製し、次世代新メモ リにふさわしい高性能で動作させることに成功した。
先に、本グループは、この材料を用い、現行の半導体メモリの一種であるフラッシュメモリの動作 にも成功しており、今度は次世代の新半導体メモリの試作に取り組んだ。この成果によって、従来の100倍以上の大容量化が可能になり、超高性能な情報機器 や情報端末の実現にさらに大きく近づくこととなった。
 この研究成果は、12月にハワイで開催されるナノテク材料の国際会議(ISANN:11/29-12/4)で発表される。

【特徴】
バイオ技術を使用して、抵抗変化型メモリを作製した。このタイプは、電圧をかけると抵抗値が変化するとともに、電源を切っても記憶が残る。
バイオ技術の手順は、まず生体の細胞に含まれ、金属分子を包み込み貯蔵する球殻状タンパク質分子(フェリチン)を利用し、サイズの均一なナノ粒子を作製した。
次いで球殻状タンパク質が持つ自己組織化の能力(整然とした構造を自然に形成する能力)を利用し、シリコン基板の平面上にナノ粒子を規則正しく2次元配置した。
さらに、外側のタンパク質だけを選択的に除去する技術の確立により、基板上に残ったナノ粒子の分散配置と半導体素子がタンパク質に汚染されない方法を実現した。
このようなナノ粒子改質技術の確立により、ナノ粒子によるフィラメントパス(抵抗が変化するさい、線状に電気が通る道)の制御、さらには動作電圧の制御に成功し、動作することを証明した。

【内容】
半 導体メモリは、インターネット社会の発展に欠かせない重要なデバイスである。超高密度で、高性能なメモリの実現にむけて、盛んに研究されている。その中で 電源を切っても情報が消えない不揮発性メモリとして、抵抗変化型メモリは、有望な構造であるが、動作の不安定性や電圧のばらつきに大きな課題がある。我々 は、バイオ技術を用いた金属ナノドットを埋め込むことで、安定な動作を実現するメモリの試作に成功した。バイオ技術を駆使して作製された大きさの均一なナ ノドットは、電流の流れる経路を制御できるため、その個数やドットの位置によって、メモリの動作条件を制御することが可能となる。

【効果】
  今回試作したメモリの中には、複数のナノドットを配置して、動作させているが、1個だけ含まれるメモリも実現可能である(現在、取り組み中)。将来、1個 のナノドットからなる究極の超高密度メモリの実現が多いに期待される。インターネットの普及によって、ますます、重要となるメモリ素子を実現する大きな成 果となった。  

【研究の位置づけ】
科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)の一環として行われた研究成果。領域名「プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製」(総括:曽根純一)

【本プレスリリースに関するお問い合わせ先】
奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 情報機能素子科学講座 浦岡行治
TEL 0743-72-6060, E-mail:uraoka@ms.naist.jp

【用語】
フェリチンタンパク質
外径13nm、内径7nmの球殻状タンパク質の一つで、哺乳類
が肝臓などに持っている鉄貯蔵タンパク質である。生体では鉄
酸化物が内包され、赤血球のヘモグロビンなどに鉄分を補給している。
フェリチンタンパクを基板上に展開すると、タンパク分子の持つ
特性によって基板上で整然とした配置を形成する(自己組織化と呼ぶ)。

抵抗変化型メモリ
 酸化物半導体を金属でサンドイッチした構造に、電圧を
与えると還元作用によって、膜を貫通する金属の経路が形成され、
抵抗は下がる。さらに、電圧を印加すると、今度はジュール熱に
よる酸化現象が起こり、再び経路が消え、抵抗は大きくなる。
このように、電圧の変化によって抵抗の大きい状態"1"と小さな
状態"0"が切り替えられることになる。

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