奈良先端科学技術大学院大学フルハイビジョンによる高精細授業アーカイブを開始― 板書や提示資料など大学院の講義をWebでそのまま再現 ―

2010/03/08

【要旨】
奈良先端科学技術大学院大学(学長:磯貝彰)は、このほど同大学附属図書館(館長:木戸出正繼)が運用する全国最大規模の電子図書館シス テムの機能を強化しました。従来の授業アーカイブシステムをフルハイビジョンに対応させるもので、板書や提示資料などを使う大学院の講義について、ネット 上でキーワードの検索により、講義のようすから教材の細部まで高精細の画面で再現できるシステムです。
このシステムは、板書や提示している教材を含めた講師映像をハイビジョン・ビデオカメラで収録するとともに、講師がプロジェクターに投影している映像も同時に記録することで、映像と提示資料が同期したフルハイビジョンの高精細コンテンツを生成し、Web公開します。
フ ルハイビジョンに対応したことにより、講師が板書している文字やレーザポイントの軌跡などが講義そのままに再現できます。さらに、講師がプロジェクターに 投影している映像も記録しているので、パワーポイント、写真、動画、ワープロソフト、表計算ソフトとなどあらゆる提示資料を鮮明に見ることができます。 Webを通じ、いつでもどこでも間近で講義を受けているように理解できます。
 4月の新学期からは、このシステムを使い授業のアーカイブ化を進めるとともに、毎年秋に行っている公開講座や著作権等で問題のない講義について、図書館のWebサイトを通じて積極的に公開することにしています。

【概要】
本学附属図書館システムは全国最高レベルの本学情報環境(曼陀羅ネットワーク及び曼陀羅システム)を基盤とした中核設備として、障害に強いシステムになっています。これらの基盤システムとさまざまな技術を用いることにより、後述する新機能が実現可能となりました。

【 今回の附属図書館システムの特徴 】
ビデオアーカイブシステム(平成22年度よりの新機能)
1. コンテンツの機能強化
① 講義映像をフルハイビジョンで収録することで、板書や授業での提示物なども高精細に記録しています。
② 利用者が詳細に見たい情報(講義映像、スライド映像)を任意に切替え、フルサイズで表示できるようにしています。
③ プロジェクターでの投影内容をすべてスライド映像としてキャプチャーすることによって、WindowsパソコンやMacintosh上で行われる講義内容のすべてを資料映像として再現できるようにしています。
④ コンテンツを生成する際に映像データを分けて構造化し、スライドの中のすべてのワードを検索キーワードとして使えるように、ISOの国際標準である MPEG-7(マルチメディアに付加するメタデータの記述規格)の規格に従い、検索ワードに関する付加情報であるメタ情報を記録することにより実現してい ます。このメタ情報を従来のMS-PowerPointだけでなくPDFへ拡張することで利用者が目的の授業内容を検索しやすくしています。
⑤ PowerPoint、PDF以外のアプリケーションもその利用状態をメタ情報として収集し、目次情報として利用できるようにしています。

2. システムの機能強化
① 授業映像の配信サーバの冗長化により、耐障害性が強化されています。
② ほとんどのユーザが再生可能なAdobe Flashによるビデオ配信にしています。
③ 今回の新コンテンツに対して、従来の電子図書館システムから同等の検索機能を提供しています。

システム導入の本学担当者は以下のとおり
・情報科学研究科 インターネット・アーキテクチャ講座・附属図書館研究開発室
附属電子図書館研究開発室長 准教授 藤川 和利
・    〃    インターネット・アーキテクチャ講座・附属図書館研究開発室
教授  砂原 秀樹
・    〃    情報コミュニケーション講座・附属図書館研究開発室  助教  寺田 直美
・    〃    インターネット工学講座・附属図書館研究開発室    助教  櫨山 寛章
・    〃    情報科学センター               助手  辻井 高浩
・教育研究支援部 学術情報課 情報サービス・電子図書館係  横山 美和子、佐野 広明

なお、本システムの 導入にあたっては、以下の組織と連携・協力をいただいています。
株式会社リコー
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
サン・マイクロシステムズ株式会社
ブルーコートシステムズ合同会社

【 本学の電子図書館について 】
本 学附属図書館(電子図書館)は、全国大学図書館のパイロットシステムとして当時の文部省から支援を受け、我が国最初の実用型電子図書館として、平成8年4 月にサービスを開始しました。現在、電子図書館へのアクセスは1日平均約14,000件で、その約75パーセントは学外からのアクセスとなっています。
こ れまでに図書や雑誌、学内論文から電子化を行ったものは、約27,000冊、324万ページにのぼり、映像資料も、講演ビデオと平成17年度から開始した 授業アーカイブを合わせて、既に4,800件(時間にして約4,900時間)を数えています。これら電子コンテンツは学内所蔵検索システムで検索、表示・ 視聴することができ、大学の電子図書館システムとしては国内最大規模を誇っています。これだけの大規模システムを支えているのは、最大40ギガビットによ る多重化を行った基幹ネットワークを用意した、高速かつ障害に強いネットワーク統合情報処理環境「曼陀羅」です。国内外の学術研究ネットワークとの高速な 接続の実現で、広域ネットワークにおけるさまざまなサービスが利用可能となっています。本学の電子図書館システムは、この「曼陀羅」を基盤として、図書館 に来館せずとも、冊子からの電子化資料、講演ビデオや授業アーカイブなどの映像資料が24時間閲覧・視聴できるデジタルアーカイブ環境を実現しています。

【本プレスリリースに関するお問い合わせ先】
奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科  (担当:准教授 藤川 和利)
TEL:0743-72-5151 FAX:0743-72-5149 E-Mail: lib-info@itc.naist.jp

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