インターネット上の大量な情報を分析・整理し信頼性判断を支援する技術を開発

2011/01/31

日本電気株式会社(以下、NEC)、東北大学(以下、東北大)、奈良先端科学技術大学院大学(以下、奈良先端大)、横浜 国立大学(以下、横浜国大)は、独立行政法人情報通信研究機構(以下、NICT)情報信頼性プロジェクト(注1)の協力を得て、インターネット上の大量の テキスト情報を分析・整理し、ある意見について、その判断の裏付けや参考となるような情報を複数の観点から表示することで、情報信頼性の判断を支援する技 術を共同開発しました。

このたび、本技術に関して広く意見を収集するため、本技術を用いて開発した試作システムを、本日より試験的にインターネット上で公開します(注2)。
なお本成果の一部は、NICTの委託研究「電気通信サービスにおける情報信憑性検証技術に関する研究開発」によるものです。

現在のインターネット情報検索では、検索結果が大量に表示され、利用者がその中から信頼性や価値の高い情報を探し出し、判断の材料とすることが困難になっています。

開 発した技術は、利用者が気になる意見を入力すると、関連するネット上の大量のテキスト情報を分析・整理し、その信頼性や有用性判断の裏付けとなるよう、賛 否やその根拠となる意見、意見の対立点の解説、人々の意見に影響を与えた出来事を提示します。利用者はこれらを基に、一つの意見に偏らない広い観点から情 報を得ることができるため、ネット上に溢れた情報の信頼性判断に役立てることができます。

本技術を応用することで、例えば、検索結果や商 品の説明ページ、体験談などで見つけた気になる意見に対して、関連する他の意見を容易に調べることが可能となります。また企業においても、商品のアンケー トやブログなど個人の意見を分析・整理できるようになり、マーケティングや新しい情報提供サービスへの応用が期待できます。

本技術の特長は以下の通りです(各出力イメージは別紙参照)。

1.意見の論理的な裏付けを分析・可視化する「言論マップ化技術」を開発
(東北大、奈良先端大の成果)
利 用者が入力した気になる意見に関して、WEB上の他の人々の賛否、根拠を論じた意見など、論理的に関係のある情報を1億以上のWEBページから分析。それ らの関係を「言論マップ」として可視化することで、論理的な観点から気になる意見の裏付けとして利用できるような情報を提示。

2.重要な意見間の対立点の読み解き方を解説する「整理・要約技術」を開発
(横浜国大の成果)
1億以上のWEBページから重要な意見を抽出して、言論マップ化技術と組み合わせ、重要な意見間の対立点をどのように理解したら良いか整理して、読み解き方を解説した要約レポートを提示。

3.意見の変化の傾向や変化の要因を分析する「時系列分析技術」を開発し、1~3の要素技術を統合(NECの成果)
気になる意見に対する他の人々の意見の変化を時系列に分析し、意見の変遷と意見が変わった要因を提示。また1~3の要素技術を統合して、信頼性判断を支援するシステムを開発。
なお、本技術の実現にあたって、NICTにて独自に収集・インデックス付与している1億以上の日本語WEBページを、実験開発用データおよび、分析対象文書として活用しています。

昨今、様々なWEBサービスにより得た情報を活用して意志決定する機会が増えています。しかし、偏った意見や誤った情報も多く、専門知識を持たない利用者が、信頼性や価値の高い情報を正しく判断したいというニーズが高まっています。
このたび開発した技術は上記のニーズに応えるものです。

今後は、試作システムの一般公開等を通じて、利用者のニーズの詳細な分析を行うと共に、本成果のさらなる高速化、高精度化に向けて、研究開発を進めてまいります。

以 上

注1 情報信頼性プロジェクト:
NICT知識創成コミュニケーション研究センター 知識処理グループが推進する、WEB情報の信頼性検証支援技術を研究開発するプロジェクト。
URL: http://kc.nict.go.jp/project1/


注2 実証実験用試作システムの公開について:
試作システムURL: http://ici.wisdom-nict.jp/

公開期間:2011年01月31日~2011年03月31日
(試作システムのサーバ運用上の都合により、上記期間内であっても、短期間システムを停止させていただく場合がございます。ご了承下さい。)

PDFファイル(563.61 KB)

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