奈良先端大准教授、グーグルグラスを使った研究プロジェクトでグーグル・ファカルティ・アワードを受賞

2014/04/07

奈良先端科学技術大学院大学(奈良先端大、学長:小笠原直毅)情報科学研究科のクリスチヤン・サンドア准教授が、メガネをかけるように画面が見られるグーグルグラスを使った研究プロジェクトでグーグル・ファカルティ・アワードを受賞しました。

この賞はグーグルが世界のトップ大学に在籍する世界的研究者を支援するために設けており、半年ごとに公募を行い、受賞者を選考しています。受賞者には、賞金とグーグルの研究者との共同研究の機会が与えられます。

今 回は、世界46カ国から691件の応募があり、115件(うち米国外は約25%)が受賞し、サンドア准教授は、日本の大学から唯一の受賞者です。受賞者に は、コロンビア大学、ハーバード大学、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、プリンストン大学、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学、 チューリッヒ工科大学などの世界の一流大学に在籍する研究者が含まれています。公式発表は以下のURLで確認出来ます。
http://googleresearch.blogspot.com/2014/02/google-research-awards-winter-2014.html

サ ンドア准教授は、「グーグルグラスを用いた拡張現実感による透視メガネ」という研究プロジェクトが評価され、62,000ドルの賞金と2台のグーグルグラ スが授与されます。これにより昨年から話題になっている最新のウエアラブル(装着型)デバイスであるグーグルグラスを日本で初めて公式に入手したことにな ります。

サンドア准教授らによると、この研究プロジェクトの目標は、世界中のすべてのユーザに次世代の拡張現実感インタフェースを提供することです。

具 体的には、グーグルグラスを使って、スーパーマンが透視するように、ユーザに障害物の向こうにあるものを見せる技術を開発することです。これまでサンドア 准教授らは、実際の環境内にコンピュータグラフィックス映像を出現させる「拡張現実感技術」を用いてノートパソコン上で動作するシステムを試作してきまし た。このシステムを使うと、ユーザは障害物の裏側にあって本来は見られないはずの物体をも、別のカメラで撮影された画像をもとにシステムがそれを三次元的 に重畳表示することで、認識することができます=図参照。これからの目標は、その技術をグーグルグラス上に実装し、誰もが簡単に利用できるものにすること です。

このような障害物を透視して見ることができる技術がどこでも使えるようになると、私たちの日常生活はより安全で便利なものになるで しょう。動物は進化によって生き抜くために日常的に必要とする感覚器官を発達させてきました。例えば、ヘビは獲物を見つけるために環境中の電気を感じるこ とができます。サンドア准教授は「人間がIT技術によってそういった新しい感覚を身に付けることは、人間以外の動物にはなし得ない新たな進化であり、今回 の研究がそれを加速させると考えられる」としています。

今後、約1年でグーグルグラスを使ったシステムを開発し、それをグーグルで実演す る予定です。将来的には、グーグルストリートビューやグーグルアースなどの地理情報システムと連動し、この技術が世界中のどこにいてもグーグルグラス上で 使えるようにしていきたい、との計画を立てています。

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