行方不明者の携帯端末の電波をドローンがキャッチして、位置を表示 死角があっても、広範囲を捜索可能 ~地域防災の日、中国・四国ブロック緊急消防援助隊合同訓練に参画~

2019/11/29

行方不明者の携帯端末の電波をドローンがキャッチして、位置を表示
死角があっても、広範囲を捜索可能

~地域防災の日、中国・四国ブロック緊急消防援助隊合同訓練に参画~

【概要】

 奈良先端科学技術大学院大学(学長:横矢直和)先端科学技術研究科 情報科学領域の樫原茂助教と総合情報基盤センター(ITC)は、高知市消防局、高知工科大学、神戸大学、兵庫県立大学との連携のもと、11月30日(土)から、地域防災の日の12月1日(日)まで、高知県須崎市で行われる中国・四国ブロック緊急消防援助隊合同訓練(主催:総務省消防庁)において、無人航空機「ドローン」により、上空から行方不明者を捜索する情報収集活動訓練を行います。要救助者が携帯しているスマートフォン等の電波情報を手掛かりに、その人の存在の可能性を地図上に示す画期的な技術で、迅速、着実に探し当てる手段としての有用性を検証します。

 10月23日(水)付けで情報提供させていただいた通り、本学と高知市は消防防災活動の強化及び効率化により、あんしん安全のまちづくりの実現に貢献するために、消防防災力の向上に役立つ研究開発と、その運用方法等に関して、産官学での継続した連携を図っていく目的で協定を締結しました。今回の合同訓練への協力は、その活動の一環となります。

 12月1日(日)に高知県須崎市立スポーツセンター周辺にて実施される情報収集活動訓練では、地震発生により多数の行方不明者が発生している想定で、ドローンを用いて上空から行方不明者の捜索を行います。このドローンには、電波をキャッチするWi-Fiセンサーや小型PCが搭載されており、スマートフォン等通信機器からの電波情報を飛行中に取得し、その後、その取得位置を地図上に表示することで、間接的に要救助者の位置を推定することができます。この技術は、死角になりやすい建物内や草木の繁茂する場所でも、電波にアクセスしやすい条件を整えることによって実行可能です。上空から探索するので、街区や山岳地帯など捜索の対象範囲が広くなるほど効果は大きく、有効な捜索手段となり得ます。また、ITCはこれまで、災害派遣医療チーム(DMAT)での訓練や被災地において、可搬式衛星インターネット通信システムを用いたアドホック型ネットワーク構築に関する研究開発を行っています。本訓練では、ドローンが収集した情報を共有するためのネットワーク環境の構築・提供を行います。

 今回のドローンの研究は、総務省消防庁の「消防防災科学技術研究推進制度」のもと、平成30年4月から2年計画で、高知市消防局と本学、神戸大学、高知工科大学及び兵庫県立大学の計5機関で「ドローンで取得した可視・不可視情報の提示とその実践的捜索活動に関する研究」をスタートさせ、共同で取り組んできたものです。今回の合同訓練にはこの5機関が全て参加して訓練にあたります。今後は、実施した訓練から抽出した課題により社会実装に向けた研究開発を行ってまいります。

本プレスリリースに関するお問い合わせ先

奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 情報科学領域
サイバーレジリエンス構成学研究室 助教 樫原 茂
TEL :0743-72-5763
FAX :0743-72-5219
E-mail:shigeru〔at〕is.naist.jp

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