奈良先端大 ボツワナ共和国との共同研究成果をJTにライセンス ~"カラハリ砂漠自生の野生種スイカ"の遺伝子で作物の収穫量増加。バイオプラスチックやバイオ燃料向け作物の効率的生産にも期待~

2013/10/25

【概要】
奈良先端科学技術大学院大学(奈良先端大、学長:小笠原直毅)とボツワナ共和国農務省(以下ボツワナ) は、共同研究により過酷な乾燥下でも根を伸張させる野生種スイカの遺伝子を発見し、作物の増収に結びつけることに成功。この発明について日本たばこ産業株 式会社(本社:東京都港区、以下JT)とライセンス契約を結びました。JTはライセンスされた技術をトウモロコシ等の飼料用作物に応用し乾燥耐性向上や収 穫量増加の実現を目指します。

ボツワナの砂漠地帯では、強い日射、高度の乾燥という過酷な環境の中で、野生種スイカが生育しています。奈 良先端大とボツワナ共和国農務省農業研究部は2004年から2010年まで、独立行政法人日本学術振興会のアジア・アフリカ学術基盤事業の助成(助成期間 は2005年~2007年)を受け野生種スイカのストレス耐性を解明すべく共同研究を行いました。

根は植物体の支持にも関与し、根の発達 は植物生産性を強化するうえで重要な要素です。共同研究グループは砂漠に自生する野生種スイカなどの植物は、地下深くの水脈に到達するため根を伸長させ乾 燥地に適応していることに着目。野生種スイカの遺伝子を研究し、その中から乾燥条件下で発現し根の伸長を誘導する遺伝子を見出しました。

ス イカは双子葉植物の一種ですが、本研究で特定された遺伝子を導入すると、他の双子葉植物に加えてイネなど単子葉植物においても根の伸長が促進されます。こ うしたことから、土壌水分や栄養源を効率的に吸収し、乾燥ストレス耐性の向上と同時に収量が増加することが期待できます。単子葉植物についてはJTが稲で 実験を行い、効果を確認しています。

今回の契約により研究成果の実用化が促進され、食糧、飼料のみならず、大気中の二酸化炭素(CO2)を増やさないカーボンフリーのバイオプラスチック、バイオ燃料等の原料となる広範な作物について効率的に生産する技術開発が期待されます。

奈良先端大およびボツワナの出願中特許:「根の伸長誘導又はバイオマス量を増大させる新規遺伝子及びその利用」(WO2013/015287)

PDFファイル(175.08 KB)

プレスリリース一覧に戻る