小さな力で制御する分子連結法の開発に成功 -生体分子の多機能化や高分子材料への応用に期待-

研究成果 2021/08/25

小さな力で制御する分子連結法の開発に成功
-生体分子の多機能化や高分子材料への応用に期待-

ポイントと概要

■ ポイント

・分子と分子を簡便に連結できるアジド基(注1)は、医薬品や高分子材料の開発に広く利用されているが、反応のコントロールが難しく、様々な機能成分を分子に搭載することは困難であった。

・小さな相互作用力である水素結合(注2)によって、特定のアジド基だけを使う、もしくは使わないという反応性の切り替えを可能にし、精密連結による分子の多機能化を実現した。

・生体分子の多機能化や高機能性高分子材料への応用が期待される。

■ 概要

 富山大学(学長:齋藤滋)学術研究部薬学・和漢系(生体認識化学研究室)の谷本裕樹准教授らの研究グループは、奈良先端科学技術大学院大学(学長:塩﨑一裕)先端科学技術研究科 物質創成科学領域光反応分子科学研究室の森本積准教授らとの共同研究により、水素結合を応用した有機アジドによる自在分子連結法を開発しました。本研究により、小さな相互作用力である分子内水素結合によるα-アジド第二級アセトアミド(α-AzSA)中のアジド基の化学的性質の大きな変化を利用することで、アジド基を正確に使い分けた分子連結を達成しました。これまで必要とされてきた巨大な置換基がなくても精密な分子機能化を可能にする本研究は、生体分子等への影響を最小限にした機能化につながり、ライフサイエンスや高分子化学などの幅広い分野での応用と発展が期待されます。

 この研究成果は、令和3年8月14日付けで英国王立化学会誌Organic Chemistry Frontierにオンライン公開されました。

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問い合わせ先

<研究に関すること>  

 富山大学学術研究部薬学・和漢系 生体認識化学研究室 准教授 谷本裕樹
 (本学客員准教授)
 TEL:076-434-7518(直通)  Email:tanimoto[at]pha.u-toyama.ac.jp

報道に関すること

 富山大学総務部総務課広報・基金室
 (TEL)076-445-6028 (FAX)076-445-6063

 奈良先端科学技術大学院大学 企画総務課 渉外企画係
 TEL:0743-72-5063  FAX:0743-72-5011 
 E-mail:s-kikaku[at]ad.naist.jp

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