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参画室図書・映像の紹介
図書館の男女共同参画室図書コーナーに置いてある本のご紹介をします。

女性科学者に一条の光を 猿橋賞30年の軌跡
(書籍の表紙画像)女性科学者に一条の光を
著者:
女性科学者に明るい未来をの会
出版社:
ドメス出版

多くの方がご存知のことだと思いますが、猿橋賞は、猿橋勝子氏の気象研究所退官時に集まった寄付金を基金として創設された「女性科学者に明るい未来をの会」によって贈呈されます。本学の高橋淑子教授が第30回受賞者になられたことは記憶に新しいことです。
本書では、猿橋勝子氏の同級生によるその人となりの回想や、会の顧問になっておられる先生方による賞の意義などが述べられ、猿橋賞のことがよく理解できるとともに、第30回までの受賞者全員の言葉が載せられ(故人の紹介を含む)、多様な分野の錚々たる女性研究者の声を聞くことができます。様々な研究分野の第一人者である女性研究者による研究内容の紹介も興味深いものですが、共通して、猿橋賞を受賞したことによって広く認められるようになったという証言があり、猿橋賞の意義の大きさを感じることができます。
高橋淑子教授ご執筆の「細胞の声を聞く -動物の発生にみる形作りの研究」や、第4章の内容であるパネルディスカッション「猿橋勝子先生に学ぶ」(パネリスト=赤松良子氏、塩満典子氏、坂東昌子氏、司会=米沢富美子氏)など、興味深い内容が盛りだくさんです。

ダークレディと呼ばれて 二重らせん発見とロザリンド・フランクリンの真実
(書籍の表紙画像)ダークレディと呼ばれて
著者:
ブレンダ・マドックス(福岡伸一監訳 鹿田昌美訳)
出版社:
化学同人

ロザリンド・フランクリンは、DNAの構造解明を決定づけることができる研究データを引き出したX線結晶学者です。1958年に37歳の若さでがんにより死去しました。1962年にはDNAの二重らせん構造の発見で3人の科学者がノーベル生理学・医学賞を授与されましたが、彼らの間でロザリンドは「ダークレディ」と呼ばれていました。その一人、ジェームズ・ワトソンは『二重らせん』を著し、これはベストセラーになりましたが、この本の中にロザリンドは、「気難しいロージー」として登場します。彼女の存在なくしてワトソンとクリックがDNAの構造発見という大発見をなし得たかどうかは疑問だとされています。ワトソンは、彼女の撮影したX線写真を彼女に無許可であると知りつつ見たことがノーベル賞受賞につながったのです。ロザリンドのノートを見る限り、彼女自身がほどなく単独でそこにたどり着くはずだったことがわかるとされています。
この「ロージー」の扱われ方は、「あの女は自業自得」というジェンダー的な昔話の変形版だと解釈されることもあります。気難しく、人づきあいが下手な女性だったからこんなことになったのだと決めつけてしまうのです。ロザリンドとは本当はどんな女性だったのでしょうか?本書ではこのロザリンドに客観的かつ多角的な光を当てて、その生涯に迫っています。

マリー・キュリーの挑戦  -科学・ジェンダー・戦争-
(書籍の表紙画像)マリー・キュリーの挑戦
著者:
川島慶子
出版社:
トランスビュー

・・マリー・キュリーから連想されるさまざまな主題を扱いながら、科学だけでなく、ジェンダーや戦争や、人間にとってのルーツの問題について考えることができる本、そして自分の国を忘れることなく、世界について考えることができる本、マリー・キュリーにとってのポーランドとフランス、エーヴ・キュリー(マリー・キュリーの次女)にとってのフランスとアメリカ、山田延男や湯浅年子にとっての日本とフランス。「いま」「ここ」から離れることなく、別の時代や別の場所についても思いを巡らせることのできる本、そんな本を書けないかと思ったのです。・・「あとがき」より。
1911年ノーベル化学賞授賞式での講演(1903年に夫妻で物理学賞受賞、1906年にピエールは馬車の事故で死亡)で、マリー・キュリーは、ウラン以外の物質にもウランと類似の放射線現象が確認できることは、まず自分が研究し始めたと明言しました。これは、周囲の人が「頭脳はピエール、肉体労働はマリー」だったと見ていたことに対する反論の意味もありました。栄光に包まれていたように思われるマリー・キュリーですが、当時の社会における女性差別やポーランド出身であるということからの民族差別の中で生きていたのです。その姿は良くも悪くも2人の娘の生き方に影響しました。本書ではその2人の娘や、フランスへ渡った日本人女性の放射線研究者など、マリー・キュリーの放射線科学を取り巻く人々の生き方も多彩に紹介されています。

格差社会を生きる ~男と女の新ジェンダー論~
(書籍の表紙画像)格差社会を生きる
著者:
杉井静子
出版社:
かもがわ出版

「派遣切り」や「年越し派遣村」などで、「貧困と格差」が大きな問題として取り上げられています。しかし考えてみると、もともと女性は貧困と格差の中にいました。それが男性にも及んできたために初めて「格差社会」などという言葉が生まれたともいえるのではないでしょうか。男女の賃金格差、税金や社会保障の制度、男の子と女の子の生命の値段の違い…格差の中にはジェンダーが見え隠れします。そして、ジェンダーは女性差別だけでなく、男性差別でもあるのです。男だって生きにくい。
子どもの学校に提出する書類の「保護者」欄、あなたは誰の名前を書きますか?自分の夫のことを他人に話すとき、なんと言いますか?夫が「主人」なら、あなたは従者?雇われ人?
ジェンダーの視点で意識すると気づかされることはたくさんあります。格差社会を変革するには、ジェンダー視点で「おかしい」ことは「おかしい」と声を上げ、意識を変え、社会を変えることが必要です。『格差社会を生きる』は、法律的に存在した女性差別や今も色濃く残るしきたりや慣習をわかりやすく解説するジェンダー論の入門書です。
この社会、なんだかしんどい・・・生きにくい と感じるかたは、一度読んでみる価値ありです!

勝間さん、努力で幸せになれますか
(書籍の表紙画像)勝間さん、努力で幸せになれますか
著者:
勝間和代 香山リカ
出版社:
朝日新聞出版

努力してこそ幸せは得られる、と勝間さん。努力しなくても得られる幸せはあるはず、とは香山さん。
経済評論家である勝間和代氏は、幸せになるためには努力は必要であると述べています。がむしゃらに自身を追い詰める努力ではなく、努力そのものを楽しむ。そのためには、適切な教育や能力開発の機会を平等に受けられるようにしなければならない、とも述べています。対して、精神科医の香山リカ氏は、努力をしないと幸せになれないのか。それならば、努力をしたくでもできない、努力しても結果が得られないなどの人々は、どうやって幸せを得たらよいのかを問いかけています。
幸せになるにはどうすればいいのか、なにが人を幸せにするのか、努力した先に待っているものはなんなのか、正反対の主張がぶつかりあう二人の対談本です。

「女性を活かす」会社の法則
(書籍の表紙画像)女性を活かす会社の法則
著者:
植田寿乃
出版社:
日本経済新聞社

著者は、「女の人は3年から5年働くもの」という考えの会社に新卒で入ったあと4回の転職をし、現在は「女性を活かしている会社」の取締役であり、キャリアコンサルタントであるという女性です。多くの職場を体験し、見てきて、「女性の働きやすい制度をつくり、管理職に女性を登用して、女性の活躍の場を増やせば、女性は元気に働き会社も元気になれる。企業イメージも良くなる」という安易な発想に固まってしまっている会社はたいてい失敗していると言います。「女性を活かす」とは、女性幹部を作るという「活かしているふり」をすることではなく、どの女性も表舞台で活き活き働けるような環境をつくっていくということです。このために重要なのは上司のあり方で、モチベーションストッパー上司になる人には、「信長上司」や「チューリップ上司」といったものがあるなどの分類が紹介されていて、思わず笑ってしまいます。部下をやる気にさせる上司には人間力、つまり、他の人と関わるときに発揮される、心の使い方、心配りといったものが必要だとしています。これは、日々磨かれていくものです。この力をもてば、モチベーション上司になれるのです。
女性が元気で活き活き働いている元気な会社にしか、将来性はないという断言は、大学その他の組織にもあてはまるものではないでしょうか。

赤ちゃんがすやすやネンネする魔法の習慣 ママも子どもも安眠できる!
(書籍の表紙画像)赤ちゃんがすやすやネンネする魔法の習慣
著者:
アネッテ・カスト・ツァーン,ハルトムート・モルゲンロート(古川まり訳)
出版社:
PHP研究所

[情報科学研究科 数理情報学研究室 准教授 柴田 智広]
赤ちゃんの夜泣きは、生後9カ月近くまでがピークで、それから治るケースも、2歳くらいまで続くケースも様々なようですが、どんなに我が子を愛していても毎日細切れ睡眠しかとれないのでは相当なストレスになります。私も、娘が6カ月近くになったころから夜泣きが始まり、2~3時間ごとの細切れ睡眠の毎日。仕事にも支障が出るだけでなく、夫婦ともに子育てに余裕がなくなってしまいました。
そんな時に、なんとか解決する方法はないかと調べたところ、妻がネットでレビュー評価がとっても高い本を発見してくれました。藁にもすがる思いで購入、この本にある実に簡単な方法を実践してみると、見事に一週間で一人ネンネができるようになり、夜泣きもほとんどしなくなりました。親も子もぐっすり眠れるので、毎日楽しく子育てができています。また、友人にこの本を紹介したところ、早速成功したという喜びと驚きの声が寄せられています。夜泣きに悩んでいる方に強くお薦めいたします。
ドイツの心理学士と医学博士が書いたこの本は、赤ちゃんの学習する能力をうまく引き出すことによって「遊びは一緒に、ネンネは一人で」というコンセプトのもと赤ちゃんに安心感を与えながらトレーニングする方法を、さまざまな事例を交えながら的確に指導しており、ドイツで小児科医も薦めるベストセラーになっています。
これまでに私が見たり聞いたりした一般的な夜泣き対策と言えば、夜泣きは仕方のないことで、誰でも体験することだから、夜泣きを防ぐ方法よりも、夜泣きで起きた赤ちゃんをなだめる方法ばかりでした。これではいつまでたっても子育てする母親への負担が大きいままです。この本の画期的なところは、夜泣きそのものがなくなるトレーニング方法が紹介されているという点です。また、母性愛の精神論に頼らず、医学博士の見地から理路整然とトレーニングの有効性と安全性が明確に指摘されている点も大いに共感と安心感を持つことができます。

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