世界に存在感のある大学院大学を目指して

画像:学長 横矢直和
奈良先端科学技術大学院大学
学長 横矢直和

本学は、21世紀社会の基盤となる情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学を担う3つの研究科で構成される学部を持たない新構想の国立大学院大学として1991年に誕生しました。以来、「実験大学」として、3つの分野とその融合領域において世界レベルの研究を推進するとともに、その成果に基づく体系的な大学院教育カリキュラムにより組織的な人材育成を行ってきました。これまでに博士前期課程(修士)修了者約7,300名、博士後期課程(博士)修了者約1,400名を社会に送り出し、それぞれが社会の様々な分野で研究者・技術者として活躍しています。また、本学で育った多数の若手研究者を全国の主要な大学に教授・准教授等として送り出し、先端科学技術分野での教育研究に貢献しているのも本学の大きな特徴です。

奈良先端大誕生からの25年間の教育研究活動は、客観的な数値指標でも、また、文部科学省による国立大学の教育研究実績の評価等においても、極めて高く評価されてきました。例えば、実績のある大学の研究力を一層強化するために、文部科学省が平成25年度から開始した「研究大学強化促進事業」において、本学は、全国22機関の一つに選ばれています。また、平成26年度には、我が国の国際化を牽引する大学を積極的に支援する「スーパーグローバル大学創成支援事業」においても、全国37機関の一つに選ばれています。

近年、社会の様々な場でグローバル化が求められています。本学はグローバルキャンパスの実現を目指して、上記の2つの事業を中心に、世界各国の代表的な大学等との教育、研究の両面での連携を強化しています。教育に関してはインドネシアとタイに連携の拠点となる海外オフィスを設置しました。現在、本学で学ぶ学生の20%以上が世界各国から集った留学生となっており、更に増やしていく方針です。また、研究に関しては、欧米の大学等との組織的な連携を強化しており、本学の教授が主宰する海外サテライト研究室を2室(フランス、米国)設置するとともに、海外の大学の教授が主宰する国際共同研究室を学内に3室(米国、フランス、カナダ)設置し、学生も参加する共同研究を開始しています。さらに、若手研究者の国際展開力の強化を目指して、若手教員の長期海外派遣を行っています。

民間企業等の外部機関との連携も重要な課題であり、イノベーション創出を目指して、民間企業と組織的に連携して、将来を見据えた社会的な課題の発掘から、個々の課題解決に向けた挑戦的な研究活動まで連続的に、異分野融合型の取り組みを展開する新たな形態の共同研究「課題創出連携研究事業」を、現在、3社と実施しています。

いま、科学技術は大変革の時代を迎えています。本学は、創設からの25年間、情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学の3分野とその融合領域において世界レベルの研究と高度な研究者・技術者の育成に注力してきましたが、その時代の「先端科学技術」とは何なのかを問い直してきた25年でもありました。変化していく先端科学技術に柔軟に対応できる教育研究体制を構築するために、本学では、平成30年度から、融合領域教育の強化に重点をおいた1研究科体制への移行を計画しています。この中で、現在の3研究科の教育に対応した「情報理工学プログラム」「バイオサイエンスプログラム」「物質理工学プログラム」に加えて、融合領域の教育プログラムとして「情報生命科学プログラム」「バイオナノ理工学プログラム」「知能社会創成科学プログラム」「データサイエンスプログラム」を設定します。この1研究科体制への移行は、世界に存在感のある大学院大学を目指す奈良先端大にとって、創設以来、最大の挑戦になります。

最先端を探求し続ける本学の学長として、組織としての大学と構成員(学生・教職員)が挑戦心を持つことを大切にしたいと考えています。我々の未来に希望を感じさせるイノベーションの創出とそれを担う人材の育成に教職員一同邁進してまいりますので、本学の新たな挑戦に対し、皆様のご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

平成29年4月1日
奈良先端科学技術大学院大学長 横矢直和