人が研究を育み、研究が人を育む

画像:学長 塩﨑 一裕
奈良先端科学技術大学院大学
学長 塩﨑 一裕

 奈良先端大は、1991年に学部を持たない新構想の国立大学院大学として誕生しました。現代社会の基盤となる情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学とそれらの融合分野に特化した本学には、創設以来、優れた研究者が国内外から集まり、世界トップレベルの科学技術研究を追求し、高い評価を獲得してきました。例えば、2013年度から始まった文部科学省「研究大学強化促進事業」の対象として全国22機関の一つに選ばれ、研究力の強化をさらに推進しています。

 科学技術研究の目的の一つは、社会や人々の生活をより快適で喜び溢れるものにするために、さまざまな問題・課題の解決につながる発見・イノベーションを産み出すことでしょう。例えば、現在進行中の新型コロナウイルスとの戦いでは、多くの研究者がその最前線に加わっています。また一方で、有史以来、科学者が積み重ねてきた研究は、私たちの知の地平を拡大し、知識を蓄積する人類の文化的な営みでもあります。

 最先端の科学技術研究を教育の場とするのが奈良先端大です。研究に取り組む中で、最新の知見を学修するだけでなく、発見や開発が求める多面的な能力、スキルを身につけることができます。また、科学技術の研究に国境はありません。文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援事業」の対象にも選ばれている奈良先端大では、現在、世界34の国や地域から留学生を受け入れており、在学生の4人に一人は留学生です。共に研究に取り組み、アイデアや成果を共有、議論しながら実践的な英語能力・コミュニケーション能力を磨くことができる国際的な環境も奈良先端大の特徴です。

 奈良先端大は、今年で30周年を迎えます。本学の科学技術研究の成果には、すでに実用化されて私たちの生活に役立ったり、教科書を飾ったものも少なくありません。また、奈良先端大で修士、博士を取得した卒業生は、それぞれ8671名、1720名を数え、それぞれが国内外の様々な分野で研究者・技術者として活躍しています。加えて、本学で育った多数の若手研究者が、全国の主要な大学の教授・准教授として研究や教育で力を発揮しています。

 これまでの成果をステップとし、奈良先端大の新たなフェーズの準備として、2018年には全学を単一の先端科学技術研究科に統合する大改革を行い、異なった専門分野が結集してSDGsなど世界的な課題の解決に挑戦するイノベーションと人材の創出を推進するための基盤を整えました。さらに、この度の学長就任にあたり、「先端科学技術で未来を共創する大学」を目指す学長ビジョンを策定し、公表しました。科学技術研究の最先端を追求し、その中で次世代のリーダーを育成するというミッションをとおして、奈良先端大は未来に貢献するため前進を続けます。


2021年4月1日
奈良先端科学技術大学院大学長 塩﨑 一裕